第4話 依頼
トレミィ:「それで、借金解消になるようなクエスト、あったの?」
トレミィがエディに身を乗り出すように尋ねた。
エディはため息混じりに手元の依頼書を差し出した。
エディ:「これが……まあ、これが、まだマシな方だな」
トレミィはひょいとそれを受け取り、目を走らせる。
トレミィ:「ふむふむ……ゴブリンの盗賊団退治ね。ありがちだけど、まあ悪くないかも」
だが、次の瞬間。彼女の表情が一変した。
トレミィ:「……ん?」
眉がぴくりと動き、瞳が鋭く細められる。
エディ:「ゴブどもだけなら何とかなる気がするけどなぁ。魔術師は、ちょっとご遠慮願いたい・・・・。」
エディのぼやきが終わるより早く、トレミィが声を上げた。
トレミィ:「こいつら、もしかして──!」
依頼書を握る手が震え、彼女の瞳が見開かれる。そこには、驚きと……どこか懐かしさすら混じった動揺が浮かんでいた。
エディ:「どうした?」
エディが怪訝そうに眉をひそめると、トレミィは彼をじっと見つめ返した。興奮を隠しきれない様子で、口元がわずかに震えている。
トレント:「……もしかして、今ぼくが追ってる連中かも。」
トレミィは依頼書を見つめたまま、眉間にしわを寄せて黙り込んだ。
エディ:「確かめてみるのか?」
エディが静かに問いかける。
少しの沈黙のあと、トレミィは小さく頷いた。
トレミィ:「うん。行ってみるよ。ありがとう、エディ。」
そう言って、トレミィはふわりと笑いながら依頼書を返す。
エディ:「じゃあ、俺も行こう。」
トレミィ:「えっ?なんで?」
トレミィは目を丸くして、首をかしげる。
エディ:「ゴブどもが、けっこうな数がいるみたいだからな。群れられると厄介だし、魔術師までいるって話だ。面倒くさいことこの上ないぞ。」
トレミィ:「でもぉ……なんか悪いよぉ……」
トレミィは申し訳なさそうに視線を落とす。
エディ:「なぁに。気にすんな。クエストのオマケだと思えば、気楽なもんさ。」
エディは依頼書をくるくると丸めて、トレミィの頭を軽くパンッと叩いた。
トレミィ:「ホント?じゃあ、さっそく行こうよ!」
さっきまでの曇った表情はどこへやら、トレミィは勢いよく扉へと駆け出す。
エディ:「まったく、現金な子だな……」
エディは苦笑しながら、軽く肩をすくめてその後を追った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます