RPG
201×年 6月
今日は、大好きな担任の先生とたくさんお話をした。
私は休み時間に外で遊ぶのではなく、教室で本を読んだり友達とおしゃべりしたりしている方が好きだった。
でも、その先生は外で遊ぶことが好きみたいだった。
だから、私は校庭に飛び出すようになったんだ。
「先生は、なんで外が好きなの?」
今日話したことは、こんな内容だった。
先生の好きなことを詳しく知りたくて、ケイドロで一緒に牢屋に捕まっているときに聞いてみた。
藤棚の牢屋で、先生はにっこりと笑った。
「真っ青な空は、元気をくれるんだよ。空が青いと、友達がたくさんできるんだ」
不思議な言葉だった。
けれど、なぜだか引き寄せられる言葉だった。
そんな先生が好きな曲は、『RPG』だった。
空は青く澄み渡り
海を目指して歩く
怖いものなんてない
僕らはもう一人じゃない
この曲を聴くたび、先生を思い出す。
いつも笑っていて、日に焼けた肌がかっこよくて。
初めて男の先生が担任になったけど、それがまた新鮮で。
だから、あの頃の思い出にはいつも青い空が広がっている。
孤独に感じるときは、誰だってあるだろう。
年下の妹に手がかかり、両親がそっちばかり気にしているとき。
「お姉ちゃんなんだから」と、甘えても応えてくれなかったとき。
なんだか悔しくて、哀しくて。
涙を目にいっぱい溜めて、机の下に潜り込んだ。
狭く暗い空間で、光を求める。
そのときに思い出したのは、あの先生の笑顔。
私にとっての太陽。
“煌めき”のような
人生の中で
君に出逢えて
僕は本当によかった
先生に会えて、良かった。
人生は煌めいているのかは今は分からないけど、きっと煌めいていくよね。
先生がいてくれるなら。
窓から見た空は、青く澄んでいた。
青空を見ると、今でも外に飛び出したくなる。
同じことを思っている人は、少なからずいると思っている。
だから、そこで出会えた人たちは、きっと「友達」だ。
これはきっと、先生の魔法なんだ。
ちなみに、先生は「俺は宇宙人なんだ」といつも言っていた。
そうなんだ!
興奮して、親に話した。
先生は宇宙人なんだって!
乗っている車は、宇宙船なんだって!
あとから知ったことだが、それを信じていたのは私だけだったらしい。
中学生になったとき、久しぶりに会った友達に言われた。
え、今だって信じてるよ!?
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