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 その紙束を手に持つのは、重たい前髪で目元を隠した華奢な少女である。最後のページを捲り、おそらく読み終えたのであろう。そっと紙束をテーブルへ置いた。

「……わたしたちは、ずっとここにいる」

小さな声で呟く。彼女の手から離れた紙束は開いていた窓からの風に吹かれ床へと落ちた。

「あるといえばある、ないといえばない、無限の箱庭」

彼女はこちらを見る。窓越しに。サラリとした外ハネの髪が動きに合わせて揺れた。目線は相変わらず隠れている。

「……いいよ。おいで。君も『後輩』、だろう?」

目が合っている。そのことがただ嬉しかった。

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