11話 カードバトル回
ストックが尽きてきました
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おじいちゃんから逃げるように3人で帰宅して、保存用の箱を自室にお気に行ったりフォレスター君に嫉妬するカードの皆を宥めたりした。
暫くドタバタと動き回って、やっと落ち着いてきたなーと居間へ休みに行くとこちらも疲れた表情のキヨさんが居た。
「キヨさん…さっきは、ごめんね?悪かったとは思ってるんだけど、フォレスター君の付き合いがあってね。あははは」
「おほほほ、まぁお気になさらず。私は綾織様の狂気に晒されて疲弊してしまいましたが、蓮様はあくまでフォレスター様にお付き合いしていただけですものね?」
そうなんだよと俺は頷こうとしたが、キヨさんの珍しく疲れた様子がはっきり出ている目が笑っていないことに気づく。
「まさか、私が生贄になってくれてるから綾織様の息子さん語りから逃げておこう…などとは考えておりませんものね?」
ね?と強調して発音する、キヨさんの誘導尋問には耐えきれず俺はすぐに白状した。
「ごめんなさい!そういう風に考えてました」
「潔くお認めになるならば宜しいのです、誤魔化して嘘をつくだなんて往生際の悪い態度は当主らしくないですから。そんな固くならなくても大丈夫ですよ?ただ、ストレス発散のカードゲームに付き合って頂きたいのですが」
そう言った彼女の言葉に合わせて、カタリと音を立てた机の上には既にカードの束を準備してくれていた。
キヨさんお得意の、無意識をついた意味の分からない高速移動の妖術だね。
「勿論付き合うよ、ルールは通常通りでいい?」
「基本は通常通りですが、あくまでストレス発散のお遊びですので仮想空間の展開は緩めにしましょう」
えー、なになに。その術式干渉的に予測すると、カードの実体化と現実世界からの別離に留めるのかな?
それくらいが、カードの皆のストレス発散にも丁度良さそうだね。
それでは御先祖様失礼しますー、偉大な術式を少しパクらせてもらいますね。
「「仮想空間擬似展開」」
打ち合わせ通りに妖力を出し合って2人で術式を構築すると、俺達は向かい合い早速バトルの為にデッキをシャッフル。
キヨさんのデッキは悪と中立のトリッキーな構成で常に一定とはいえ、毎回変なコンボばかり決めてくるからメタ編成を組むのは少し難しい。
とはいえ、それにも一応何回か戦う中で答えは出てる…それはバランス型だ。
まあ、対策を取れているのはあっちも同じだしポーカーフェイスが強くて心理戦での勝利も怪しいし、臨機応変な対応で行こうかな。
カードの皆が束から微かな気配を放ってる中、ゲームスタート。
まずは、互いにカードを5枚引いてる内にシステムに従ってランダムに先攻と後攻が割り振られる…
先攻は俺だね、じゃあ先ずは1枚引いて1枚マナゾーンに送ってターンエンド。
今回はバランス型の善と中立の陣営で組んでいるから、弱めの子で制圧するのはがらじゃないんだよね。
キヨさんも同じようにターンエンドをして、それを互いに繰り返して3ターン目で状況が一気に動いた。
「俺は3マナで光の守護者を召喚、スキル:儚き祝福で山札から2枚引いて手札からランダムに1枚マナに送る、召喚酔いでターンエンド」
『……!』
光守護くんは、カッコイイ名前の割に騎士のぬいぐるみで可愛らしさ全開だけどそれは言っちゃいけないんだ。
彼はそれをかなり気にしてるし、クールなポーズでしょと剣を掲げる仕草をしてるからね。
「カッコイイ騎士様ですね、ですが手加減はしませんよ?私は3マナで呪術人形を特殊召喚、スキル:忍び寄る呪いで手札を2枚捨てる代わりに蓮様の手札を指定で捨てさせます」
『キヒヒッ♥』
…何かこの前もあの人形に、厭らしく欲しい手札を潰されていったんだよね。
今度こそキヨさんに欲しいのを指定されないようにしたいけど、あの煽るような踊りが絶妙にウザイんだよなぁ。
「……右から2番目を、と見せかけまして。真ん中の手札を捨てて下さい、当たりでしたね。隠そうとしても、蓮様の顔は何年も見ていますからお見通しですよ」
キヨさんと呪術人形のコンビネーションは完璧で、俺の大切な手札は悲しむ暇も無くボロボロと朽ちるようにして墓地へ送られた。
『イヒヒヒヒ〜★』
「まあ、切り札では無いし問題は無いよ。俺は光守護くんを墓地に送る代わりに、0マナで堕天の騎士を特殊召喚!スキル:反転で墓地と同数2枚の手札を引く」
『ガアアアッ!』
普通に指定された手札は痛いけど、気を取り直して俺の4ターン目ではヤンデレ騎士君を場に出す。
流石に何度も苦しませられたら対策も取るものなんだよね、キヨさんはどんな反応かな。
「あまり気にしてなさそうだけど、俺は更に5マナで聖なる斥候隊を召喚。召喚酔いをしないから呪術人形へ攻撃して破壊でターンエンド」
やっとあの不快な踊りが視界から消えて安心したけど、キヨさんはドローとマナだけで何も出さずにターンエンドか…
何もしないってのも逆に不気味だね。
「何をしても完封してあげるけど…俺はファーストペンギンα・Ω・β・Θを4体同時召喚!同時召喚したことでスキル:集団心理を発動、皇帝人鳥に進化させるよ」
『また出オチペン!』
『ぶらっくぺん?』
『労働はかくも厳しいものであるかpen…』
『我絶望
「ろうどうのかいぜんをもとむ」と書かれたハチマキを巻いてる仲良し四兄弟は、残念ながら出オチしか役割がない。
運が良い時しか出来ない強いコンボの為に、毎回疲れた顔をさせているけど仕方ないのだ。
ぷるぷると震えるペンギン四兄弟達が光を放つとその光から、皇帝のタロットが現れ俺の手元に来たので場に出す。
『また我が呼ばれたか…』
すると山々と玉座を背景にした、赤で統一された衣装と金色の冠を身につけるエンペラーペンギンが登場。
皇帝人鳥、今回も頑張ってね。
「俺は皇帝のスキル:決断の時を発動、斥候隊・堕天を行動不能にする代わりにフォレスター・復讐の獣を手札から出した後に2枚引いて、ターンエンド」
皇帝がヒレで一生懸命指示を出して皆を説得して回り、終わった瞬間に汗が噴き出したような顔で一生懸命額へ手を伸ばす。
そうやって頑張るのに、それが届かなくてずっとジタバタしてるのが毎度のことながら可愛いんだよ。
…けれど、そんなコミカルな動きもキヨさんの視線を感じた瞬間に止まる。
「追い込まれましたとでも言うと思いましたか?私は計3ターン召喚を行わなかったことで狩人の罠を0マナで唱えて、敵味方問わず進化以外のモンスターを破壊します」
「っ、それは初めて見たな」
切り札は伏せて隠し持っておくものですよ?と人差し指で口を塞いだキヨさんの仕掛けた罠が皇帝以外に襲いかかり、見るも無惨な姿になった後で墓地へと送られた。
罠は実践的で無骨なクセに、モンスター達の血を浴びて喝采するようにその歯を打ち鳴らすのが憎たらしい…。
「更に0マナで呪文を唱えたことで条件を達成した賭博場の鬣犬を特殊召喚」
『ウヒ゛ャヒャゥ゛ァヒー!』
そして、続けるキヨさんの言葉に答える遠吠えがすると罠を嘲笑いながら踏み潰していく大きなハイエナが現れた。
ハイエナの体中には金や銀の光り輝く装飾品が品なく飾り付けられていて、その下卑た表情をギラギラと照らしている。
お遊びと言ってた割には、物凄い攻撃的なコンボ決めてくるね?
実は本気で怒ってそうだから顔は合わせないでおこう、これは俺が臆病なんじゃなくて戦略的撤退というやつだよ。
「鬣犬のスキル:大博打をマナ全損で発動し、墓地にある特殊召喚系カードに合わせて3枚引きます。そして、その手札が全て特殊召喚系では無ければ私はゲームに負けます」
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