第23話 誰かの為に強くなる

陸遜と徐庶は 誰かの為に強くなるタイプかなあって思います。


郭嘉とか司馬懿は自分の為にこそ強くなれるタイプかなと思いますが、


世の中には普段はそんなに我を主張しなくとも、

その場に自分より弱い人とかがいると、自分が頑張ってこの人を守らねば……などと何故か思ってやたら強くなる人がいるのです



陸遜は私は、そういう人だったんじゃないかなと思っています。



この場合、陸遜は自分自身の為にという理由では、剣を持てなくなっています。

大義や祖国、存在理由を失ってしまったので。


でも、そんな彷徨う自分の前に、もっと生きることに迷ってる徐庶が現われた。


様々な要因から、徐庶の背景に心が寄る所があり、


「この人をとにかく洛陽に生還させたい」という


非常にシンプルな、目の前の願いでしかない気持ちですが、


でもそういうもののために陸遜が剣を取る理由に出来たのも、



陸遜が自分自身というよりは


他人を守るために自分が強くなれるタイプの人だったからかなというのを書いておきました




陸遜本当にそういう人なんですよ



作中でも「生まれた時から私は誰かの代理」と


言わせたように常に代理、

常に暫定的、

常にピンチヒッターなんですよ。


現代のスポーツ界でアスリートとかしてたら絶対陸遜は「最強の助っ人」みたいな異名ついてましたな



まず生まれた時から早くに父親亡くして同族とはいえ他所のお家にお世話になってる


ここに自分に対する遠慮が生まれ、自分を他人だけど引き取ってくれた人への感謝とかが一番最初に叩き込まれてるんですよね。


つまり「他人がいたから自分は生きていられる」という部分です。


それからは陸績が立派に成人迎えるまでは、陸遜が代理として一族まとめてるし

夷陵も呂蒙が早世したからこそ、ほぼ暫定監督みたいな立場での大都督就任ですわ

呂蒙がピンピンしてたらぜーーーーーーーーーーーーーーーーったいに孫権は陸遜に総指揮なんか任せなかったな!


亡くなったからやむを得ずですよ


夷陵もピンチヒッター抜擢ですわ


丞相になった時もそうやで


顧雍先輩が76歳って当時のほぼ寿命といっていいご高齢で在任したまま亡くなられたからの代理や。


孫権が陸遜のこと個人的にとても気に入っていて信任してたら顧雍先輩が寿命で亡くなるまでこき使ったり絶対せぇへんやろ。

あの顧雍先輩が在任中に寿命で亡くなってる部分に孫権の陸遜にだけはぜーーーーーーーったい丞相やらせたくねえ!!っていう強い意志を感じるもんな


丞相を陸遜に任せるってなった時の孫権の渋々感が目に浮かぶようです


陸遜は本当に自分がついに丞相になったぞー!!みたいな喜びゼロやっただろうな

陸遜は聡明なのでもうその頃には孫権が呂蒙などほど自分を人として信頼していないことは勘付いていたはずですよ。


顧雍先輩が亡くなって致し方なく孫権が自分に丞相の位を任せることになった気持ちとかも慮って、本当にそのことに感謝し、国の為にただ尽くしますってなって、その誠意を示したくて、死んだとき家に余計な資産とか何も無かったんだと思います


そして二宮の変では本来孫権よりもずっと年上で、父親のような視点で、後継のことを諫められるのは顧雍の役目だったのに、顧雍はそれを言ってくれないまま亡くなった。


彼が本来丞相という立場で孫権に言わなければならないことを、言わなかったから、それを暫定丞相になった陸遜が孫権に言うことになったわけです。


ここでも陸遜は顧雍の代わりとして、孫権に言わなきゃいけないことを言ってる。


皇帝となり、誰も逆らえない立場になっていた孫権に、誰も言いたくないことを、忠臣代表として陸遜が言ったに過ぎないんですよ


陸遜本人が主張が強かったとかそんなことはないんです


未来の呉の為に誰かが孫権に「孫和に任せなければ悪しき前例を作る」と言わなければならなかった



最後の最後まで陸遜は誰かの代理なんですよね……。



自分だけの幸せを追求したら、そんなもん、言うてません。


孫権様が孫覇推したいならそうすれば~?って言ってた方が孫権にも気に入られるし、家で悠々昼寝していられます。だってもう陸遜は丞相まで上り詰めたんですから。国政最高位ですよ。もうあとは優雅に晩年過ごすだけでいい。



それでも最後まで嫌な使命だろうが、果たそうとしたのは、忠義とか、他人の為に自分が生きる。


そういうもの以外に理由は無いと思います。



孫権が陸遜のそういう部分を理解してくれない主君だったので、

私は誰かが陸遜のそういうのを誰よりも理解していて欲しいなっていう気持ちがあるのです。


呉の人々の中には勿論そういう人は作れるのですが、


実は他国に、そういう人がいて欲しい。


呉で陸遜が孫権のせいで死に追いやられても、基本的に王が相手じゃ、内心では陸遜に同情していても、誰も泣いてくれないんですよね。沈黙するじゃないですか。



だからこそ、他国の人間は純粋に陸遜が死んだときに、どんなに辛いけど尊い決断をしたかを理解出来て、純粋に泣いてくれる人がいるんだろうなと思うのです。




うちの小説では、私は徐庶にそういう立場に成って欲しいと実は考えていて……




だからこそ今徐庶と陸遜の心のこういう触れ合いを、「魏」で書いてる。


いずれ徐庶は「蜀」陸遜は「呉」に戻ります。


両軍がぶつかる夷陵で、二人が邂逅する所をどうしても書きたいんだよな……!


陸遜が【臥龍】の首を狙って単独で敵陣に向かっている時に徐庶と戦場で再会して、徐庶は戦えず、陸遜を密かに逃がしてくれるとかを書きたい……


無性に書きたい


夷陵は凄まじい怒りとか、憎しみとかが吹き出すみたいな戦場にしたいけど、


地上のそういう混乱とは無関係に、どこまでも夜空は澄んでて、やたら星が綺麗な戦場みたいな感じで書きたいなーってものすごく遠い未来のことではありますが、実は今でも鮮やかにそれが想像出来て頭の中にある




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