第13話 朔望

「朔望」とは太陽と月との関係性でも使う言葉なのですが、


私が好きなのは「惑星直列」の方の【朔望】です。


太陽系の惑星が太陽に対してほぼ、一直線に並ぶタイミングのことを指しています。


まあ要するに非常に貴重な、集合のタイミングということですね


W杯で一つの国に各国のスーパースターが集まって競演しちゃうようなのも人間界の惑星直列現象と言ってよいでしょう🥰


それくらい貴重なタイミングで一つの場所に貴重な人たちが集まっているという意味で、


小説内で「あの人とこの人が会ってる!!」みたいなシーンで「偶然」という言葉では色気が無いし、「稀少」というのもそのままだし、


貴重なタイミング、


を一言で美しく言い表すことが出来る言葉でとても好きです。




三国志まったく詳しくない方に分かりやすく説明しますと、

中国の中央辺り、襄陽あたりに【水鏡荘】と呼ばれる山荘があり、ここの主が「司馬徽」と呼ばれる名士だったのです。彼の号が「水鏡」だったため司馬徽は「水鏡先生」と弟子たちに呼ばれ、要するに水鏡先生の住まいだから【水鏡荘】なのです


水鏡先生には人徳なのか優秀な弟子たちが彼の許に集い、各国に仕官をしていました。(私塾のような場所)。


水鏡先生の弟子の中でその才を【臥龍】と【鳳雛】と呼ばれる二人の極めて優秀な弟子がいたとされます(諸説はあるよ)


それが諸葛亮と龐統なのです


以前から大学大好き🥰と言っている通り、私は三国志のような戦乱の時代に、こうやって三つに分かれた大陸の中央辺りで、色んな地の出身の人が集まって、一カ所で、立派な人間になるために色んな勉強をして、巣立って行く場所というイメージが水鏡荘にはあり、


戦乱の時代の聖域みたいな場所だなあーって思って、一番最初に【水鏡荘】の存在を知った時からとても大好きな場所でした。


色んな人たちが集まって、昼夜そこで勉強して、夜には食事をしながら今日も明日も色んな知識のことを時間も忘れて話してるみたいなイメージがあり、


なんかとてもいいなと思って来ました。


みんなで勉強してる感じが可愛い そして巣立っていくのが


諸葛亮と龐統の


対になった「臥龍と鳳雛」という異名のエピソードも素敵なんですが……。





実はこの司馬徽門下生の中に 徐庶という人物がいます。


諸葛亮と龐統とも親しかったらしく、諸葛亮と龐統も、バリバリと最初から出世を目指すタイプではありませんでしたが、徐庶もちょっと不思議な人で、大陸を放浪しながらこれだという主君を探して歩き回っているような人だったようです。


ただ、徐庶は最初からのんびりしていたわけではなく、若い頃はかなり腕の立つ剣客(?)のような所があり、義侠心があり、「人の敵討ちを引き受けて殺人を犯し、役人に捕まって投獄された」というエピソードがあり、若い頃は全然のんびりしていません。


しかしこのヤンチャな時期に相当なことをしたのでしょう、ある時「生活改めよう」と己を顧みて、そこから学び始めたようですね。


なんかどこかで聞いたような流れですが(※甘寧兄貴参照)、

若い頃は喧嘩に明け暮れていた(?)徐庶さんも、どうやら「学ぶこと」に光を見出した人のようです。


徐庶は作中に書いてあるように、劉備がまだ流浪していた新野時代、その辺りで劉備と出会い、この人こそ自分の仕えるべき人だと思ったようで仕官しています。

上記のように徐庶は若い頃かなり際どい世界にいたようなので、それから悔い改め、学びに光明を見出し、自分の信頼出来る主君を見つけて、その人の為に尽くそうと思う気持ちは人一倍強かった人だったんじゃないかと思います。


ようやく出会えた理想の主君の側で力を発揮する徐庶ですが、曹操軍に対して才を発揮して、これを敗走させたことで曹操の目に留まります。


そこで曹操は徐庶の母を自分の許に置き、徐庶が劉備の許を離れ、母親を使って彼を魏におびき寄せました。つまり泣く泣く徐庶は、ようやく出会えた主君と離れなければならなかった人なのですが、


恐らく徐庶の背景からして若い頃から母親には心配を掛ける所があり、

ようやく立派な人間になろうとした自分が、母親を捨てて主君に仕え、立派に働いても母親に孝行しないような人間では本末転倒だと思ったのでしょう。曹操の目論み通り魏に下ります。


しかし魏に下ってからは軍師としてではなく、官吏として、政に関わって出世して行ったようですが、天性の才は戦場で光っていましたので、政治では正に優れた人よりは劣っていたのかもしれません。魏に行ってからはある意味平凡な暮らしに終始しました。


だけど、私が徐庶が好きなのは、


この人こそと思った人と引き離されて、望まない場所に行き着いても、そこで絶望していじけて何にもしなくなったりしないところなんですよね……。


徐庶は戦場からは離れますが、魏で官位をもらい、ちゃんと仕事をして生き続けます。徐庶の没年は不明なのですが、じっくりと時間をかけて出世していき、諸葛亮と同じころに没したのではないかとされています。

人並みの暮らしを多分、していたのではないかなと思います。


生年も没年もそんなはっきりしない人なのですが、

諸葛亮とはかなり強い親交を結んでいたらしく、別々の国に分かれた後も、孔明先生が徐庶の出世を気にするエピソードなどがあって、ちょっと微笑ましいとこがあり、徐庶の性格について、孔明先生が「信頼出来る」と慕うような言葉も残していたのと、若い頃徐庶が捕まった時「仲間に助け出された」などという記述がある通り、なかなか波瀾万丈な人生を送ってる人なのですが、付き合った人たちからは非常に慕われている感じがするあたり、魅力的な人柄だったのではないかと想像したりします。



うちの小説で孔明と龐統の「対の星」のエピソードを考えた時、臥龍と鳳雛を結び付ける第三の人が欲しいと思い、それなら徐庶さんしかいねえ……!!✨と


この人も登場させるのを心待ちにしてた人です。


うちの小説では「龐統」を間に陸遜と特別な縁を結ぶ人であり、


私が三国志の中で一番大好きな




「いつか天下が太平になったら、また四海の士を批評しましょう」




という陸績が龐統先生に贈ったあの言葉を、

いずれ呉に戻る陸遜に、今魏にいる徐庶を蜀に戻し、体現させたいのです

夷陵で敵に分かれて戦場で再会するっていう展開をぜひ作りたい! ってとこまでイメージ出来てるので、陸遜にとってうちの徐庶は非常に特別な存在になって行くように書きたい。


でも彼らがそうなったのも「龐統」という存在が彼らの共通点としてあるからで、


実は諸葛亮と龐統の「対の星」のエピソードが出来上がったのが先です。


龐統編が完成した時に、龐統の死が陸遜の傷になった時、「龐統」に心を寄せる誰かがもう一人いてほしいなあと探していたのですね。


奇しくも徐庶は龐統も、孔明も知っています。二人の知人であり、同じ司馬徽門下生。放浪の運命を持ち、「望まない場所でも生きる」というキーワードを持ち、逆に「死ぬまで呉の忠臣」という宿命を持つ陸遜との対比も非常に美しく、


なんというかですね……


朔望なんですよ……。


この、


孔明、龐統、徐庶が集まった感じが。


月と星と太陽って感じがすごくして、好きなのです……!



月と星だけだったところへ、


太陽が現れることで、


孔明と龐統の二人きりだった世界に、光が射す感じを書いて行けたらなって思っています



徐庶大好きなのです……✨


思い通りにならないこと多いけど、頑張って生きる


そういうのを実践してる所が好き




撃剣(投げナイフを取り入れた武術のようなものらしい)の使い手らしいよ


三国志に軍師いっぱい出て来るけど、

なかなか


「撃剣の使い手」ってはっきり書かれてる軍師いないよ✨


どんだけ使い手だったんすか徐庶さん……若い頃ちょっとヤンチャしてた感じ可愛くて好き……。🥰



腕が立つ軍師最高である⚡

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