連鎖する出会い、交錯する冒険者たち

第5話 不死鳥合戦-煌めきの剣士カケル

ーー“セレブレーショントーナメント”から2週間が経過した。


Arcano Duskにはもう一つの大型コンテンツとしてMMORPG要素が存在する。

あの試合の後、フレンドになったミッシェルと、少しダンジョンを遊んでみたり、フレンドでもないのに見かけたら小言半分アドバイス半分みたいな絡みをしてくるモリノとたまに話したり、ゆったりとした2週間を過ごしていた。

ただ、肝心のカードの方は“デイリーミッション”をこなし、デッキの改良を加える程度に留まっていて、少しの燻りを感じていた。


「見つけたぜ、エテルナ使い」

聞き慣れない男子の声だ。

私が呼ばれたというよりは“エテルナ”の名前に思わず振り向く。

赤ベースからオレンジへのグラデーションインナー、髪色と同じ赤い瞳の20歳前後ほどの青年アバターが私へと手を振っている。

「あのベスト16位の光祥ダイヤ相手に、中々の“煌めき”だったぜ」

そう、ダイヤさんはあの後も快進撃を見せ、ベスト16位まで上り詰めたのだ。

私も試合の後チャンネル登録して応援していた。

「エテルナ使い! アンタとじゃなきゃどうしても試せないことがあるんだ、俺と戦っちゃくれねぇか?」

この後ミッシェルとの約束があるけれど、まだ時間もあるし、一戦くらいならいいかな。

「うん、オッケー、私も色んな人と戦ってデッキの調整もしたいし、でも友達が来るまでだからね」

「そう来なくっちゃなエテルナ使い、それじゃあ早速──」


──The Datacore awakens! ──


1stPlayer Turn1:カケル

「いくぜっ! ポケットをコアチャージ、“太陽国の猛進鳥”アウェイクッ!」

3コア/パワー1/“飛翔.迅速.↓衝動”


「“太陽国の猛進鳥”!? 君も赤デッキなんだね」

「おぅ! 超速攻で飛ばすぜっ!アタックだ、 猛進鳥ッ!」

リア:障壁耐久2→1


2ndPlayer Turn1:リア

「ポケットをコアチャージ、カードを1枚インタラプト、“旧文明の照らし鳥”アウェイク」

3コア/パワー2/“飛翔”


TURN1 SCORE

カケル:コア3.ポケット2.障壁2.

リア:コア3.ポケット3.障壁2.

カケル:“太陽国の猛進鳥”/リア:“旧文明の照らし鳥”


1stPlayer Turn2

「ポケットをコアチャージ、カードを1枚インタラプト、燃えろぉおおおッ! “火吹き鳥の吐息”アウェイクッ!」

3コア/エレメント1体に2ダメージ“リフレクト”

“旧文明の照らし鳥”:破壊


「障壁にアタックだ “太陽国の猛進鳥”ッ!」

リア:障壁枚数2→1


2ndPlayer Turn2

「ポケットをコアチャージ、2枚目のカードをインタラプト、私だってやられっぱなしじゃないんだからっ!」

「まだまだ“煌めき”が足りてねぇぜ、エテルナ使いッ!」

「いくよっ! “ダミーコア”をアウェイク、舞いあがって、“不死鳥エテルナ”」

5コア/パワー2/“飛翔.迅速”

赤の契約:汝契約の時あらず


「どう? 君の言葉を借りるなら、これが私の“煌めきだよ”」

「ぁあ、映像越しなんかの比じゃねぇ、エテルナの“煌めき”がバチバチ伝わってくるぜッ!」

「エテルナで障壁にアタック」

カケル:障壁枚数2→1


TURN2 SCORE

カケル:コア4.ポケット2.障壁1.

リア:コア4.ポケット3.障壁1.

カケル:“太陽国の猛進鳥”/リア:“不死鳥エテルナ”


1stPlayer Turn3

「ポケットをコアチャージ、カードを1枚インタラプト、すまねぇが行ってくれ、“太陽国の猛進鳥”は飛翔持ちの“不死鳥エテルナ”と強制バトルッ!」

“太陽国の猛進鳥”:破壊


──私も使ってあげてるカードを破壊するのは、ちょっと心が痛むかも──

「だがな猛進鳥、お前の犠牲は無駄にはしないぜ、うぉおおおッ!」


「ウェポンカード、“太陽勇者の剣”アウェイクッ!」

5コア/パワー1/“耐久3.”

“太陽”カードが攻撃したターンのみアウェイク出来る。ターン中にアタックが行われているならパワー+1。


「“太陽勇者の剣”は仲間の勇気を力に変えるぜ! “太陽勇者の剣”を装備した俺で、“太陽に挑む国鳥”にアタックッ!」


ーーインタラプトアウェイク!ーー

「“人鳥共存”インタラプトアウェイク」

1コア/“鳥”カードが破壊されたとき、それをパワーから1を引いたダメージを受けた状態まで手当する。


「私、鳥は大事にしたい主義なの」

「はっ! やるな、エテルナ使いッ!」

“太陽勇者の剣”:耐久3→2


2ndPlayer Turn3

「ポケットをコアチャージ、2枚目のカードをインタラプト、“不死鳥”で、障壁にアタック」


──インタラプトアウェイク!──

「“太陽剣技-炎壁居合”インタラプトアウェイク」

3コア/パワー3以下の攻撃を無効にし、太陽カードがあるなら1ドロー“軽減:太陽カードとウェポンカード”


「軽減は指定カードの種類だけコストを下げられる、“太陽勇者の剣”は“太陽カード”であり“ウェポンカード”でもあるから2コスト減らせる、なるほどね」

「そういうことだ、エテルナの攻撃は受け止めさせて貰うぜッ!」


TURN3 SCORE

カケル:コア5.ポケット2.障壁1.

リア:コア5.ポケット2.障壁1.

カケル:“太陽勇者の剣”/リア:“不死鳥エテルナ”


1stPlayer Turn4

「ポケットをコアチャージ、なぁ、エテルナ使いさんよ、なんで俺がアンタと試合したかったか、その本質は分かるか?」

「んーと、君の“煌めき”を試したかったから?」

「半分正解だぜ、だがな、俺の“煌めき”が具体的になんなのか、アンタはまだ分からねぇよな」

「面白くなるぜ! アウェイク、煌めけぇえええッ! “不死鳥エテルナ”」

5コア/パワー2/“飛翔.迅速”

赤の契約:汝契約の時あらず


「え、エテルナっ!?」

「そう、アンタだけじゃない、俺も、“エテルナ使い”なんだよッ! エテルナで、エテルナにアタックッ!」

カケル:“不死鳥エテルナ”:破壊

リア:“不死鳥エテルナ”:破壊


「まだ俺の攻撃は終わっちゃいないぜ、仲間の勇気を力に変えた“太陽勇者の剣”で、障壁に攻撃だッ!」

リア:障壁枚数1→0

“太陽勇者の剣”:耐久2→1


「……、カケル君、君のエタルナの勇気に着目した戦術、すごく“煌めいてる”と思うよ」

「同じ“エテルナ使い”であるアンタに言われると光栄だぜッ!」

「でも、君が“共闘のデッキ”なら、私は共に助け合う“共存のデッキ”でありたいのーー」

「“転生”インタラプトアウェイク、私と共にいて“不死鳥エタルナ”っ!」

6コア/自分の捨て札のエレメント1枚を登場させる。

転生:“不死鳥エテルナ”


2ndPlayer Turn4

「ポケットをコアチャージ、カードを1枚インタラプト、“太陽国の鳥卵”アウェイク」

3コア/パワー0/相手ターン終了時、総コア数以下の捨て札にある同じ鳥に孵る。

「エテルナで、最後の障壁にアタック」

カケル:障壁枚数1→0


TURN4 SCORE

カケル:コア6.ポケット1.障壁0.

リア:コア6.ポケット2.障壁0.

カケル:“太陽勇者の剣”/リア:“不死鳥エテルナ”.“太陽国の鳥卵”


1stPlayer Turn5

「今アンタを守ってくれるエレメントはいないぜ、“太陽勇者の剣”を持った俺でーー」


ーーinterrupt awakens!ーー

「ーー“太陽国の口伝伝承”インタラプトアウェイク」

2コア/自分のカード1枚を破壊し、カード1枚に“迅速”か“飛翔”を与える。

「“太陽国の鳥卵”を破壊して、君の“太陽勇者の剣”に飛翔を与えるよ、そして飛翔持ちはーー」

「ーー飛翔持ちがいるなら優先して戦うか、これでエテルナがいる限りアンタにリーサル出来ない、だけどよッ!」

「うん、まだあると思ってるよ、君の“煌めき”」

「おぅ、いくぜーー」


ーーinterrupt awakens!ーー

「“太陽剣技-熱波衝撃斬”インタラプトアウェイクッ!」

8コア/相手のエレメント全てに3ダメージ、太陽カードがあるならエレメントが破壊される度、1つに1ダメージを与える。(1つとは障壁やプレイヤーでも良い)“軽減:太陽カードとウェポンカード”


「 これでエテルナを倒せば障壁のないアンタに1ダメージが入って俺の勝ちだッ!」

「いくぜリーサルッ! -熱波!衝・撃・斬ッ!!!」


ーーinterrupt awakens!ーー

「まだだよっ“ソニックムーブ”インタラプトアウェイク」

2コア/ターン中自分の全ての飛翔持ちパワー+2.自分ターンで使用したなら1ドロー。

エテルナ:パワー2→4


俺はとまらねぇぜ、“不死鳥エテルナ”に挑む!」

“太陽勇者の剣”:耐久1→0破壊

“不死鳥エテルナ”:破壊


2ndPlayer Turn5

「“太陽国のゲージ”アウェイク、“太陽国の猛進鳥”をポケットに加えてアウェイク」

3コア/デッキから鳥カードをポケットに加える。

“反射”

3コア/パワー1/“飛翔.迅速.↓衝動”


「猛進鳥、リーサルが俺が初ターンに使ったそのカードってのは、趣味の良い意趣返ししてるじゃねーか」

「あははっ、たまたまだけどね、でも楽しい試合だったよ、猛進鳥でリーサルっ!」


ーーGame set.Winner リア!!!ーー


「いや、やっぱすげぇぜ、お前の“煌めき”!」

「まさかエテルナを敵に回すことになるなんて思わなかったけどね」

「わりぃわりぃ、どうしてもエテルナ対決してみたかったんだわ」

「私もしたことないマッチアップで貴重だったし、ありがとね」

「──ところでエテルナ使い、約束してた友達ってやつは?」

「わわわっ、対戦に夢中で時間過ぎちゃってるっ!? んー、でもここで待ち合わせだったのにまだ見当たらないかも」

──ミッシェルにしては珍しい、メッセージも入ってないし、でもゲームにログイン状態にはなってる──

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