ギルティーガール

YB

第1話

 燃え盛る日の海が街を覆う。

 しかし、今は誰1人として怪我させはしない。


 部下たちに命じて一時的に保護してもらっている。一般人も兵士も誰1人逃げることもできず、王都に集まって縮こまっている。


 さて、舞台は整った。


 最高の虐殺ショーの始まりだ。


 「誰か数人、猿共のことを監視してほし……」


 俺は部下たちにそう呼びかけると部下たちは次の合図も聞かず、一斉に城の中へと飛び込んだ。

 思わずため息が溢れそうになったが、俺も遅れて城の中に入る。

 城の中では王様を護衛するはずの精鋭騎士たちがいるはずだが、うちの部下には遠く及ばない、ちっぽけな戦力だ。


 歩みを進めば進むほど聞こえてくる絶叫。悲しみ、絶望、怒り……人間たちが何を思っているのか知らないが、そんな叫び声さえも微笑ましく思える。


「ユカナ様、部下たちの報告によるとこの奥に敵国のボスがいるようです」


 散歩するように王座を目指していると、瞬く間に1人の少女が現れ、そう口にする。


 彼女の名前は『ヨル・アルゲリオン』銀色のショートヘアに眼鏡が特徴の鬼人だ。

 彼女は元々、四天王の1人だったが俺が現れた事で役を失い、俺の部下になった。


 その為、彼女からは恨みを買っているようだ。


「……一応補足しておきますが、別に落とされたから嫌っている訳ではありません」

「君の能力って格上相手でも発動するんだね」

「……なんですか、言いたいことがあれば言えば良いでしょう? 四天王第一部隊軍大将、大悪魔ユ・カ・ナ・様」


 ヨルちゃんがメガネを額に押し付けてこちらをものすごい形相で睨んでいる。


 うーん、やっぱり嫌われているなー。

 なんでかな? 四天王が本来行う事務作業を全部この子に丸投げして、自分は遊びに行ってるからかな? 


「……」


 あ、ヨルちゃんの額に青筋が入った。当たりっぽいっすね。

 まぁ、改善するつもりはないのだけど。


「痛ったァ!?」

「ふん」


 そんなことを考えているとヨルちゃんにお尻を蹴られてしまった。仮にも元四天王なので普通に痛い。


 いやだって仕方なくない!? 急に四天王になれって魔王様に命令されて、本来行うはずの試練を飛ばして四天王にされたんだよ!? しかも1ヶ月前! そんな急に政治だとかどうのこうの分かるはずないって!!


 なんて愚痴を思いながら、ヨルちゃんと戯れあっていると、遂に、王様がいるであろう大きな門の前まで辿り着いた。

 

「まぁまぁ、落ち着いてよ。そろそろ王の間に着くんだからさ」

「……そうですね。ここは一旦牙を抑えて、目の前のことに集中するとします」

「わあ、初めてヨルちゃんがまともなこと言った」

「私が間違っているとでも。死にたいのですか?」


 珍しくヨルちゃんがまともな意見をいったことで気分が良くなった俺は、勢いよく門を吹き飛ばし、部屋の中に進んだ。


「……なにやってるんですか。馬鹿なんですか?」

「あはは、やっちゃったねぇ」


 魔族になってから焦ったことなどなかったが、人間の体は壊れやすいことは身をもって知っている。

 もし仮に吹き飛ばした門に衝突していれば、跡形もなく吹き飛んでいただろう。

 だけど、中を除けば、人間と思われる魔力の波長を感知することができた。


 ……もしこれで王様が死んでたら終わってたね。楽しみが一つ減っていた所だよ。

 

 先に中に入っていた魔族はこの場にはおらず、次の準備の為にこの場を離れたようだ。


「く、クソ魔族どもが! よくも、私たちの国を!!」

「これが負け犬の遠吠えってやつかな。リアルで見れることができて嬉しいよ」


 辺りを見渡しても王室といった雰囲気は跡形もなく、ボロボロだった。

 それはこの部屋を使っていた張本人も例外ではなく、王様は服も髪もボロボロで、もはや王の「お」の字もない一般人へと成り果てていた。


「わ、私たちをどうするつもりだ!」

「少し考えれば分かるでしょ、敗北者に訪れる末路なんて」

「……くっ!?」


 俺がそこまで話し終えると、隣で佇んでいたヨルちゃんが小さく微笑んで楽しそうにしていた。


「いちいちリアクションがうるさいゴミですね。……ちなみに、こちらの準備はできたようです」


 予定より少し早かったが、それはみんなが早く断末魔を聞きたいと思っているからだろう。


 俺はその言葉を聞くと、すぐさま王様の根っこを掴みバルコミーに続く扉を開けた。


「見てよヨルちゃん。サルがゴミのようにたくさんいるよ」

「えぇ、こんなにも害虫が沢山いるのなら、沢山駆除すべきですね」


 王様の顔色を窺うと、とても青ざめた顔色で猿共を見下ろしていた。

 

「君、いい表情するね。でも、まだまだこれからだよ」


 私はバルコミーから一部の魔族たちに目掛けて手でグッとサインを送った。

 その刹那、王都の上空に20メートルはある巨大なドラゴンが出現する。


 その隙に、俺は王様に王都が見やすい場所まで移動させる。


 さて、こちらの準備も完了した。


「攻撃していいよ」


 その言葉がトリガーとなり、ドラゴン達は王都に向けて、一斉にブレスを吐き散らした。


⭐︎⭐︎⭐︎

あとがき

 

 ……今回の目標。取り敢えず作品を出す癖をつける!! 2週間に一回か2回かのペースで投稿できたらします!

 他の作品については、いずれ……出します。

はい。

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