第3話 いざ、隣国へ

(あーあ、あいつらも馬鹿だなあ本物の聖女を偽聖女だと勘違いしてさ

しかもあんな間抜けを本物の聖女だと信じてさ、あの国は時期に神から見放されるだろうな)


そんなことを思っている彼女【ルミナス・フォルテリア】は紛うことなき最高神からの加護を得た本物の聖女であった。


しかし、義妹【ヴィス・セイントクロア】により、【森霊国家フロレアンス】においての聖女の座を奪われてしまったのである。


聖女は世界に同時に2人は現れない。ルミナスが聖女になる以前の聖女は【水鏡王国アクアリア】にいたのだが、老衰により死亡してしまったらしい。とても優しく麗しい聖女だったそうだ。


(私とは正反対だな)


ルミナスは昔から口が悪かった。どうして神により聖女に選ばれたのかがわからないほどに。


そんなことを考えている間にようやく【水鏡王国アクアリア】の国境にたどり着いた。


(さて、ここからどうするか……)


しかし、疲れ切った彼女は、国境の森でついに足を止める。


「……まずは水を……」


そう思った瞬間――


「動くな」


冷たい刃が彼女の喉元に当てられた。


「……は?」


「ここ数日国境付近で怪しい人物の目撃証言がある。おとなしくついてきてもらおうか」


どうやら見覚えのないことで疑われているらしい


(ここはおとなしく連れていかれるか)


ルミナスは思考を放棄した


(~移動中~)


「えっとその子が国境で見つけた怪しい人物?ただのかわいらしい女の子にしか見えないんだけど…」


(…【シルヴァン・エトワール】この国アクアリアの第三王子であり応急魔導士団第一部隊隊長。名前だけは知っていたがこんなひ弱そうなのが?)


「いえしかし…」


「というよりこの子聖女様じゃないの?」


「えっ?!本当ですか?!それならわたしはとんだ無礼を…」


「いや別にいいわよ」


「それよりもなぜそんなボロボロな格好を?」


「馬鹿どもに追放されただけよ」


「え?追放って…」


「そのまんまの意味よ」


ルミナスは今まであったことを説明する


「……だから、もうあの国には用はないのよ」


ルミナスが淡々と説明を終えると、部屋はしばしの沈黙に包まれた。


シルヴァンは深くため息をつき、優しい笑顔で彼女の頭を撫でながら言った。


「大変だったね。でももう心配ないよ。ここであなたは安全だ。この城で保護をするからね。」


(……この王子、犬でも扱うような態度だな)


「この城で自由に過ごしてくれてかまわない。もちろんお父様には許可を取ったよ」


(いつの間に…)


内心で呆れつつ、ルミナスはふと疑問を口にした。


「で、あなたは何の目的で私を保護したの? 聖女としての価値を利用するつもり?」


「え?」


シルヴァンは純粋に驚いた表情を浮かべた。


「ただ……困っている人を助けただけだよ?」


「…………は?」


今度はルミナスが言葉を失った。


(まさか……本当にただの善人? この世にそんな王子がいるのか?)




_

補足

聖女が死んでしまうと、死んでしまったときに生きている(生まれている)女性が次の聖女となる。例えば赤ちゃんであれ、老人であれ聖女になる。その聖女にルミナスが選ばれた。ヴィスは自分が聖女だと信じてやまないただの馬鹿


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