第14話「ロディとジュエル」

夕方


「ふう…今日は色々あったわね」


この世界に来てまだ間もない彩花だが早速親善大使としての仕事があった


幸いにもわかり合える人だったので話はトントン拍子で上手く行った


しかし今後もっとわかりあえない人物が来るのだろうか。その時は自分一人でなんとかなるだろうか


ここは夕焼けに染まったテラス。彩花は一人なんとも言えない感情だった


そういえばいつも夕焼けで学校を歩くゲームがあった。なんて言ったっけ


「そろそろアリシアが呼びそうだから食堂に行く…」


「彩花様」


ん?後ろを向いた


そこにはロディとジュエルがいた。ジュエルはすでに鎧を外している


「あら…ロディにジュエルどうしたの?」


この2人がいるので少し嫌な予感がした


「彩花様。貴女をとても気に入ったというのはご存知ですよね?」


「え、ええそうよ」


「でもロディより私のほうが一番だと思いますよね?」


…急にまたこんなことが始まった


「で、でも私は女帝がいるし」


「そんなこと関係無しです」


ロディのほうが先に一歩歩んだ


そしてロディは彩花の手をすっと触った。どき…と彩花は胸の鼓動があった


「ずるいぞロディ。私も」


ジュエルも進んで彩花の手を取った


「ちょっと2人とも…!?」


「前にも言いましたお答えください。私か、ジュエルか」


「私もとても美人でしょう?種族は人間ですが、ロディのようなダークエルフとは違いますよ?」


そんなこと言われても~


「お…落ち着いて!私にはまだ心の準備してないから!」


ここで気づく。この2人は確かにゲッカビジンの香りはしている


もう慣れたはずなのにそのゲッカビジンの香りが妙に強いことを


まさかゲッカビジンの香水というのは特注品があるとでも?香りがとても良い


「わ…わたしは!」


どうすればいいのだ。ここでアリシアが来てくれたら良いのだがそんなタイミングよく来てくれるはずなんてない


ロディも、ジュエルも、彩花の顔と目をじっと見て答えを待っている


「あ、ここに彩花様いたのですね?って近衛隊長に将軍!」


その前にはサクライラがいたことがわかった。よかった


「う、メイド長」


「ここは一旦下がる」


ロディとジュエルは黙ってサクライラの横を通り去っていった


「ふう…」


「どうしたのですか?まさかあの2人に求愛されました?」


なんでわかるのだ


「あ、あはは…それに近いかな」


「そうですか。でも、もし何かあれば女帝様にも伝えますし私もきちんと守ります」


サクライラのおかげで一旦のピンチを脱出できたのは良かった


「さあ、夕飯がありますよ。私のついてください」


「え、ええ」


そう言ってサクライラの後をついていく彩花


「私も参加したいですね…」


「?」


ぼそっと何かを言ってたが特別聞こえなかった



続く



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ゲッカビジン~ホワイトの花園~ 緑樹ユグ @yugu1120

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