第9話・番号がついていない図書館通りの図書館
少し地面から浮かんで走るホウキに乗って、不思議な世界を走ってきたセシル・リデルは、同じ建物が両側に並ぶ大通りにやってきた。
『図書館通り』の案内板がある通りの、両側には図書館が並んでいて、図書館には番号が付けられていた。
(図書館通り?)
セシルは道に掃除機をかけて掃除をしていた、ネズミに聞いてみた。
「なにをしているの? 道に掃除機をかけて? ホウキで掃くのならわかるけれど?」
灰色の掃除ネズミがセシルの質問に答える。
「ホウキで掃くのも掃除、掃除機で吸い込むのも掃除……何が違う」
「だからぁ、外をいくら掃除しても意味が、石や砂があるだけで」
「落ち葉を掃除するコトに意味が無いと思うのか……君は何をわたしに聞きたいんだ?」
「図書館を探しているの」
「君の目は節穴のようだな……ここは、図書館通り、図書館だらけだどんな図書館を探しているのかな?」
「青いネコが司書をしている図書館なの」
ネコと聞いて、掃除ネズミは慌てて逃げ出した。
歩き回っている木の根元にある、穴に入り込んだ掃除ネズミは「番号がついていない図書館が、君の探している図書館だ!」
そう言い残して隠れてしまった。
大通りの図書館が、一斉にしゃべり出す。
「セシル・リデルが探している図書館」
「番号がついていない図書館」
「仲間外れの図書館をセシル・リデルは探している……あはははっ」
「番号がついていないから、図書館には鍵がかかっていて毎日休館」
「名前をつけないと、番号ナシの図書館には入れない……ほほほっ」
セシルは、図書館の番号を順番に確認していって、番号が抜けている図書館を発見する。
「この図書館だけ、番号が無い……アレ? 何番が抜けているんだっけ?」
セシルは数回、図書館通りの図書館番号を数え直したが、どうしてもその図書館の番号だけは記憶から抜けてしまう。
困っていると、歩く木の根元に開いた穴から、掃除ネズミが顔を覗かせて言った。
「番号がわからなかったら……君が名前をつければいい、その名前が図書館の目印になる」
掃除ネズミは、歩く木と一緒に去って行った。
セシル・リデルは昔、本で読んだ名前を図書館につけた。
「命名……ルイエ図書館」
カチッと鍵が開く音がして、図書館の扉が開く。
名前を付けてもらった図書館が礼を言う。
「ボクに名前をつけてくれてありがとう、この図書館は君の図書館だ」
セシルが図書館に入ると、受付に青い帽子をかぶった青いネコの司書がいた。
「来てくれたんだね……ありがとう、セシルのお腹空いていない?」
「少しだけ」
「それじゃあ、この本をどうぞ」
ネコの司書が一冊の絵本を開くと、立体的に美味しそうな料理が開いたページの上に浮かぶ。
「館内は飲食禁止だけれど、本の上ならページから、ハミ出さなければ大丈夫……さあ、フォークとナイフを持って」
セシルは、ページの上に浮かんだ料理を食べて空腹を満たした。
お腹が一杯になったセシルが、ネコの司書に訊ねる。
「図書館で何か、問題が起こっているんでしょう」
「うん、どれでもいいから棚から一冊本を取り出して開いてみて」
言われた通りにセシルが一杯の本を開くと、ページの所々の文字が抜けていて。
挿し絵も空白になっている部分があった。
「これは、いったい?」
「本から文字が逃げ出しちゃったんだよ……使われない文字、必要がない文字、読まれない文字が本の中から逃げ出した……そのうち、セシルの世界の文字も逃げ出して人々の記憶から言葉が消えていく」
「言葉の記憶が消える? 挿し絵が無くなっているのは?」
「それは〝挿し絵怪盗〟に盗まれた……お願いだセシル・リデル、文字と挿し絵を探し出して図書館の本にもどして、他の本からも文字と挿し絵が消えている……その本は君自身の、前世と来世の本だ」
「あたしの前世と来世の本?」
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