2人の出会い

第1話 入学式を終えて

「ふわぁ」


 眠たそうな様子であくびをする黒髪、大きい眼鏡をかけた渚純なぎさじゅんは入学式、HRも終わり、机にだらけた様子を見せる。


「渚、行くぞ!」


 隣のクラス親友、身長2m、スキンヘッド、体格の良い男、鬼吉麒熊おによしきくまは笑顔を見せながら、威圧的で覇気力が高めな声で渚を見る。


「麒熊は相変わらず元気そうだな」


 渚は威圧感、覇気力、高めな声を聞いても動じる様子もなく麒熊に無表情な様子で反応する。


「渚、相変わらずドライ過ぎないか」


 麒熊は甲高い声で渚に言う。


「……いつものやりとりだろう」


 渚は無表情で麒熊は言う。


「……」


 麒熊が渚に声を掛けた瞬間に回りの生徒が怖いのか、そそくさと教室から出て行った。


「あれ? いつの間にか教室に人がいなくなったのう」


 麒熊は首を傾げた様子で言う。


「……」

「?」


 渚は無言で麒熊の黒い瞳を見始める。


 麒熊は小、中と一緒にいる大親友である。


 明るくお人好しで面倒見が良いんだけど、見た目で損しているのが可哀想だなと思いながら、麒熊の様子を見る。


「渚! 見た目で損をしているのは、麒熊は自覚しているから問題ないぞ!」


 麒熊は渚の考えることを読んだ様子で答える。


「……」


 渚が無表情で麒熊は考えること良くわかるなと言う様子で見る。


「なんせ、9年の付き合いだからな」


 麒熊は笑顔を見せて答える。


「……麒熊と仲良くして9年か」


 渚は懐かしげな表情を見せて眼鏡を整える。


「渚、眼鏡を外して生活せい!」


 麒熊は言う。


「……眼鏡は好きだから、外したくないかな」


 渚は無表情ながら力強い意思、声、表情を見せて言う。


 渚は、視力は良く、度の入ってない眼鏡である。


「渚にとって唯一の趣味だからな」


 麒熊はやれやれとした表情で言う。


「無趣味ではないだろう。いつも麒熊の誘いで遊んだり、手伝ったりしてるだろう」


 渚は無表情で麒熊に言う。


「麒熊が声掛けんと渚は何もせんだろう!」


 麒熊は力強い声で言う。


「麒熊の声は覇気力が高めだからな。弱メンタルの人は失神するぞ」


 渚は無表情で麒熊に言う。


「ということは、渚とお隣さんの人は強メンタルということだな」


 麒熊は笑顔で楽しげな様子で渚、隣の生徒を見る。


「?」

「……」


 渚は隣を見ると、窓側後ろ側の席にボブカット黒髪、大きめな眼鏡をかけた少女が無言の圧力とジト目で見ていた。


「……黒金、うるさくして、ごめん」

「……」


 渚は作り笑顔を見せて申し訳ない様子で謝ると莉愛はこくりと頷き、席を立ってそそくさと教室を出て行った。


 渚の席のお隣さんは黒金莉愛くろがねりあ。特徴と言えば大きな丸眼鏡をかけているぐらいだろう。


「渚、別に悪いことしてないから謝る必要ないだろ」


 麒熊は不思議な様子で渚を見る。


「黒金のジト目と無言の圧力は苦手なんだよね」


 渚は作り笑顔で麒熊に言う。


「おーい!」


 栗色髪の少女、影月胡桃かげつきくるみが渚、麒熊に声を掛ける。


「……」


 渚は無言で席を立ち始める。


「渚ちゃん、逃げない!」

「う!」


 胡桃に首の裾部分を素早く捕まれ、渚は苦しそうな様子を見せる。


「何で逃げるの?」

「彼氏の麒熊と2人の方が良いかなと思って」


 渚は無表情で胡桃の見る。


 麒熊と胡桃は中学から彼氏、彼女の関係で3年は付き合っている。


 渚も気を遣って距離を置こうとするが、何故か毎回、胡桃に捕まり一緒に3人で遊びに行っている。


「行かなきゃ駄目?」


 渚はめんどくさい様子で胡桃の赤い瞳を見る。


「熊ちゃん」

「あいよ!」

「!?」


 渚の首後ろの裾を片手で掴み始める。


「行きますから! 離してくれ!」


 渚は両手を上げて降参する様子を胡桃に見せる。


「良し! 行くよ!」

「おう!」

「……」


 渚、麒熊、胡桃は3人で教室を出て校舎玄関に行き外に出た。













「熊ちゃんの肩車いいね!」

「おう!!」

「……」


 渚が一緒にいたくない理由の1つとして、中学から麒熊が胡桃を肩車して、外出したりして帰るから、非常に恥ずかしくてメンタルが削られることである。



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