改造彼女と異世界ぶらり旅
udg
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それはまだ、愛とか恋とか、そんな難しい言葉を知らない頃。
俺がまだ、ぼく、だったころ。
いつの間にか、枷となっていた思い出。
たとえもう、ほぼすべてを思い出せなくなっていたとしても、まだそれでも―――。
パチンコ屋とローンの看板が光る街。
うす汚い階段を上った三階のワンルーム。ボイドスラブも1418も縁のない賃貸で、自慢できるのは壁の薄さだけ。そんな部屋に帰ってやることは、PCのモニターに向かってマウスを動かすこと。
いつもの国盗りゲーム。
既にやり尽くした十年前のゲームで、今日も隣り合う強国を粉砕している。
もうすぐ二十六歳になる、いや、もうなったのか?
一階のコンビニでバイトして、部屋に戻るだけの日々が続いたせいか、自分の誕生日すら記憶が薄れつつある。
実家と縁も切れ、友人と呼べるほどの知り合いもいない。
強いて言うなら、ゲームの中で頼りにする相棒? さすがにそこまで入れ込んだらヤバイだろ。
やがて、攻め込んできた隣国を全滅させた。敵の兵数は二十倍、それでも楽勝だ。
十年前のゲームだから、敵の戦い方が稚拙なのもある。だけど、仮に敵の指揮を生身の人間がとったとしても、結果は変わらないだろう。
なぜかって?
そりゃあ、相棒が優秀だからな。
優秀にするために、いろいろ不正…ではなく改造したからな。
(買いかぶりすぎです)
(そんなことはない。お前は―――?)
………。
だからオンラインゲームは苦手だ。
改造したら怒られてしまう。俺はいつだって好きにいじりたいんだ…………。
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