第41話【わたし視点】よるのおさんぽと、げんきなおじいさん!
わたしがクッションの上でうとうとしていたら、知らないおじさんが、こっそりお部屋にやってきた。
おじさんは、ビー玉さんと、すごく真剣な顔でひそひそ話をしている。
なんだろう? なんだか、わくわくする匂いがする!
しばらくしたら、ビー玉さんが、わたしをそーっと抱き上げた。
そして、黒いマントをすっぽり被ると、さっきのおじさんと一緒に、お部屋から出ていった。
わあ! 夜のおさんぽだ! わたしも一緒だ、やったー!
ぴかぴかのおうちを出て、夜の街を静かに進んでいく。
着いたのは、きんぴかさんが住んでいた、すごく大きなお城だった。
おじさんは、誰もいない、秘密の通路みたいな暗い道を通って、どんどん奥へと進んでいく。探検みたいで、すっごく楽しい!
そして着いたのは……あ! あの部屋だ!
わたしがこの前、最高にからくて美味しいモヤモヤを食べた、おじいさんが寝ていたお部屋!
おじさんがそーっと扉を開けると、中には、あの時のおじいさんが、椅子に座って待っていた。
あれ? なんだか、すごく元気になってる!
前は、ぜえぜえ苦そうな音を出してたのに、今は、背筋がぴんとしてて、目もすごく力強い。よし、きみは今日から『げんきなおじいさん』だ!
わたしが、ビー玉さんの腕の中から顔を出すと、げんきなおじいさんが、わたしのことに気づいて、にこっと笑った。
そして、ビー玉さんに何かを話すと、テーブルの上に置いてあった、キラキラ光る小さな石を、わたしの目の前に差し出してくれた。
くんくん。
わあ! すごく甘くて、濃い魔力の匂いがする!
この前のあまい石ころよりも、もっともっと、美味しい匂いだ!
食べてもいいのかな?
わたしが、げんきなおじいさんの顔をじっと見つめると、彼はこくん、と優しく頷いてくれた。
やったー!
わたしは、そのキラキラの石に、ぱくっ!
んー! 甘くて、力がみなぎる! 最高!
こんなに美味しいものをくれるなんて、げんきなおじいさんは、やっぱりすごくいいひとだ!
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