第12話【わたし視点】あまい石ころと、きんぴかのひと!

ふかふかのクッション天国で気持ちよく目が覚めると、お部屋に見慣れないひとがいた。

すっごく、きらびやかなひとだ!

髪の毛は太陽みたいにキラキラの金色で、目は血みたいに真っ赤。なんだか強そうだ。着ている服も、金色の糸で綺麗な模様が描かれていて、歩くたびにきらきらと光っている。椅子に座る姿も、なんだか、すごく偉そうな感じがする。

よし、このひとは『きんぴかさん』って呼ぶことにしよう!


きんぴかさんは、にこにこした顔で、わたしに近づいてきた。

その手には、綺麗な銀色のお皿が乗っている。お皿の上には、小さな角砂糖みたいな、キラキラしたお菓子がたくさん乗っていた。

あまい、すごくいい匂いがする! それに魔力がキラキラしてて、これは絶対おいしいやつだ!


きんぴかさんが、そのお皿をわたしの目の前に差し出した。食べてもいいよ、って言ってるみたいだ。

やったー!


ビー玉さんが、あ、というような、すごく慌てた音を出して、わたしを止めようとしたけど、もう遅い! わたしは、彼女が手を伸ばすよりも速く、お皿に飛びついて、キラキラの石ころを、ぱくぱく!と、夢中で全部食べてしまった。


あまい!

お菓子の甘さと魔力の甘さが、お口の中ですっと溶けて、幸せな味がした。 最高!


わたしが夢中で食べていると、ビー玉さんはすごく青い顔をして、黒騎士さんはピリピリした空気を出して、きんぴかさんを睨んでいる。

あれ? どうしたんだろう? あ、もしかして、わたしが全部食べちゃったから、二人の分がなくなって怒ってるのかな? ご、ごめんなさい……。

わたしが、ちょっとだけ気まずくなって体を縮こませていると、きんぴかさんが、すごく楽しそうに笑って、わたしの頭を優しく撫でてくれた。


なんだろう。こんなに美味しいものをくれて、優しく撫でてくれるんだから、きっと悪いひとじゃないよね! なんだか、すごくいい人に見えてきたかも! わたしは嬉しくなって、彼の手にぷにぷにと体を擦り付けた。


きんぴかさんは、満足そうな顔でにやりと笑うと、今度はビー玉さんと、すごく長い間、何かを真剣に話し始めた。わたしには難しいことは分からないけど、きんぴかさんがすごく自信満々な響きの音を出していて、ビー玉さんが困ったような、でも真剣な音を返していた。すごく大事な会議みたいだ。


話し合いが終わると、きんぴかさんは部屋から出ていった。

彼がいなくなった後、ビー玉さんが飛んできて、わたしの体を隅々まで、すごく心配そうに調べていた。

わたしは、食いしん坊でごめんなさい、という気持ちを込めて、彼女の指にぷにぷにと体を押し付けて、ご機嫌をとった。だって、本当に美味しかったんだもん。

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