第7話【わたし視点】わくわく! おそとへのたび!

ビー玉さんの家に来た次の日、ビー玉さんが、なんだか難しい顔をしていた。

黒騎士さんと一緒に、地図みたいな紙を広げて、ぶつぶつ何かを言っている。わたしにはさっぱりわからないけど、真剣なのは伝わってきた。


やがて、おうちの中がそわそわし始めて、どこかにお出かけすることになったみたい。ピクニックかな!

しょんぼりさんとためいきさんが、涙を浮かべて見送ってくれる。大丈夫だよ、泣かないで! わたしはしょんぼりさんの手にぴょんと飛び乗ると、また少しだけ、あったかい力を分けてあげた。


外に出ると、翼さんが大きな翼を広げて待っていた。わたしとビー玉さんと黒騎士さんが背中に乗ると、大きな翼が風を受けて、わたしたちの体はふわりと宙に浮いた。

うわあ、すごい! ビー玉さんのおうちが、どんどん小さくなっていく。風がすごく気持ちいい!


何日か空を飛んでいたら、なんだか元気のない村が見えてきた。おうちも人も、なんだか黒っぽい色をしてて、しょんぼりしている。ビー玉さんが心配そうな音を出して、翼さんはゆっくりと村に降りていった。

村の中は、すごくからそうな匂いがした。それに、みんなの顔や体に、黒い泥みたいなシミがたくさんついてて、ぐったりしている。お水が入っている大きな穴の中も、どろどろのスープみたい! うわあ、すごくからそうだ!


ビー玉さんが止めるより速く、わたしは翼さんからぽよんと飛び出した!

まずは、おっきな水の穴に、ぽちゃんと飛び込んだ。

おおっ! 薄いけどピリ辛の刺激的な味! 体中で吸収すると、穴の中の水は、あっという間にキラキラの透明になった! ぷはーっ!


次は、ぐったりしてる人たちの番だ!

わたしは、みんなの顔や手についてる黒いモヤモヤを、片っ端から、ちゅーっと吸い取ってあげた。

わたしが吸うと、みんなの顔から黒いシミがなくなって、すうすう気持ちよさそうに眠り始めた。

えへへ、いいことしたな!

村の人たちは、元気になると、みんなでわたしに向かって頭を下げてくれた。なんだか、すごく感謝されてるみたいで、ちょっと照れくさいけど、嬉しかった!


村の人たちにバイバイして、わたしたちはまた空の旅に戻った。

たくさんの人が、空を飛ぶわたしたちを見て、手を振ってくれている。なんだか有名人になった気分だ!


そして、ずーっと飛んでいくと、遠くに、すっごくおっきな街が見えてきた。今まで見たどんなおうちよりも、もっともっと大きなお城みたいな建物がたくさんある!

これからあそこに行くんだ! どんな美味しいものがあるのかな? どんな面白いことがあるのかな?

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