穴が空いている

 大きな大きなその穴は

 何かを取り込もうとするが

 かえって何かを排出してしまう


 何を取り込んでも穴が埋まることはなく

 仮に埋まろうとしていても

 穴を埋めてくれていたはずの者に

 無意識に穴が広げられることもある


 穴を埋めてくれと思うのに

 穴が埋まらないことも望む


 この穴は本質なのだ

 この穴は性質なのだ

 この穴こそ真実なのだ と

 穴の中からぐちゃぐちゃになったナニモノかの

 混沌とした声が聞こえてきた


 その声を封殺するため

 また穴を埋められるナニモノかを探す

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