頭から殻を被る

 幾重にも被った殻は決して破られることがなく

 見つめる誰かの視線にも怯えることがない


 殻を被りすぎて素顔が見えなくなる

 だが素顔などむしろ見えないほうが良い

 殻は誰かの借り物と己の表層から発生したものと

 そういうものだけを被っている


 殻を一枚ずつ剥がされていく

 その心地よさを知りながら

 これ以上剥がないでくれと願い

 また新たな殻を生み出すも

 やはり時間をかけて少しずつ剥がされていく


 その殻の中身は空っぽなのに

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