第24話 リーシアVSカレン

「……んで、何を企んでるんだ?」

 

 俺はリーシアに話しかける。

 今は休憩の時間で、リーシアが戦闘する前の準備体操をしている。流石のカレンも疲労しているから、休憩の時間を設けてリーシアとの戦闘をするつもりだ。

 

「べっつにー?何も企んでないよー」


 リーシアが俺の質問に対して、軽く答える。

 コイツ……絶対に嘘をついているな。

 基本、リーシアは面倒くさがり屋で、あまり自主的に行動したりしない。だいたいの面倒事は俺に押し付けてくるが、組織からの任務はしっかりと、こなしていく。リーシアはそういった人物だ。

 任務で魔法少女と戦うならまだしも……それ以外の理由で、しかも自主的に戦うなんて、ほぼありえない。ほとんどの場合が「えー……めんどくさいー……お兄ちゃんがやってよー」の一言だ。

 あと……リーシアとは長年の付き合いだ。なんとなく勘でわかる。


「まあ……企むのは良いんだが……やりすぎるなよ?」

「はいよー」


 俺は、リーシアに釘を刺しておく。この前の戦闘みたいになったら、困るからな。

 いざとなったら、俺が戦闘を止めるしかない。


「じゃあ、やりますかー」


 リーシアが準備体操を終えると、カレンのいる方向へと歩き出す。


「リーシアさん……大丈夫でしょうか?」


 俺の隣にいる綾部が心配そうな顔でリーシアを見つめる。


「多分、大丈夫だ。逆に俺はカレンの方が心配になるな」

「カレンさんの方が心配に?」

「ああ」


 綾部が不思議そうに首を傾げる。

 その気持ちは、わからなくもない。綾部もさっきの俺とカレンの戦闘を見ていたから、思う事だ。カレンはかなり強い。対するリーシアも強いは強いが……俺の予想では普通に戦闘したらリーシアは負ける。それくらいにカレンは強い。カレンの刀でリーシアの触手を切られ、接近されて終わるだろう。

 そう……それが普通の戦闘だったらだ。

 まあ、今は考えても仕方ないか。


「頑張れよ。リーシア」

「……え。珍しい……お兄ちゃんが私の応援をするなんて」

「なんだよ?妹が頑張ってるんだから応援くらいするだろ?」

「ありがと……」


 リーシアが少し照れた感じで感謝する。


「リーシアさーん、頑張ってください!」

「ありがとう!綾部ちゃん!」


 俺と綾部の応援を貰うと、リーシアは駆け出していった。


 *


 ふむ……妹の方も中々、強そうだな。

 私――カレン・ステファニーは心の中で思考する。

 確か、名前は……リーシアだったな。多分、リーシアも何かしらの能力を持っている筈だ。だが……何だ?……この異様な雰囲気は?

 アレスは明らかに強者の雰囲気を放っていた。リーシアは……言い方が悪いかもしれないが、

 うまく言葉にできないな。しかし、私はリーシアと戦うまでだ。

 私とリーシアがお互いの顔を見る。


「ボコボコにしても、泣かないでよね?」

「それはこっちのセリフだ」


 お互いにフッと笑うと、戦闘が開始される。先に仕掛けてきたのはリーシアだ。


「ゆけ!触手テンタクルちゃん達!」


 リーシアの背中から、触手の様なものが一斉に生えて私に襲い掛かってくる。

 ほう。面白い能力だな。


「だが!」


 私は自慢の刀で触手をバッサリと切る。

 もうちょっと堅いと思っていたが……これなら連続で切れる。


「流石だね。ならば……手数で勝負だ!」


 さっきよりも多い数の触手が襲い掛かってくる。それを私は集中して切り続ける。

 良いぞ……やはり、刀と言う武器は使いやすくて良い。


「はあっ!」


 触手を切り続けながら、一歩一歩、確実に進んでいく。リーシアとの距離もどんどんと近づいていってる。

 これなら……いける!


 「くっ!」


 リーシアは焦っているのか、触手の数を増やして、私に応戦してくる。


「っ!」


 私は、先程よりも深く集中し、触手を切っていく。そして、確実に進んでいき、リーシアが刀の攻撃範囲内に入る。

 よし!勝った!!

 私はリーシアを守っている最後の触手を切る。

 その瞬間、リーシアがニヤッと笑った。

 私が切った触手から、煙の様なものが噴出される。


「な、なんだっ!?」


 私は毒かと思い、咄嗟にバックステップをし、後方に移動する。

 少し吸い込んでしまったが……何も……起きない?

 私は拍子抜けをし、刀を構え――。


「っ!?」


 急に私の視界がグラつく。身体もフラフラして、言う事を聞かない。立っているのがやっとの状態だ。


「えへへ……さーてと、私の時間だね」


 そう言うと……リーシアは不気味に舌なめずりをした。

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