第4話 追うもの
私は見回りで廊下を歩いていた。しかし、背後からひんやりとした視線がまとわりつくのを感じる。
最初は気のせいかと思った。しかし、歩みを早めると、足音のない気配も早足になる。
「…誰か、いるの?」
声は小さく、震えていた。心臓が胸を打つたびに、背中に冷たいものが伝わる。
廊下の蛍光灯がチカチカと瞬き、影が歪む。
愛媛は足を速めるが、追ってくる気配は距離を詰め、息遣いすら感じるような錯覚に襲われる。
心臓は早鐘のように打ち、呼吸は浅く、喉が渇く。廊下の先に影が差し込み、
廊下の別れ道に差し掛かると、突然、奈月と出くわす。
「うわ!愛媛さん…」
奈月の声は震え、目は恐怖で見開かれていた。
「さっき、私…何者かに追われたの」
影は距離を詰め、振り返ると、誰もいない――しかし、視界の端に揺れる影は確かにある。
廊下の奥、蛍光灯の下で影は揺れ続ける。
冷たい静寂の中、影は確かに存在し、二人を見つめ、追い続けている――その恐怖は、夜の病院全体に染み渡っていた。
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