東京連鎖幻夢綺譚ホラー 【トウホラ】

朱月 澪音

前書き

病院の廊下は、昼間の賑やかさとは、また違い、静まり返っていた。

深夜の病院は、昼間の理性的な顔とは別の顔を持っている――無言の息遣いと、視線の気配に満ちた顔を。


一原愛媛はカルテを抱えながら歩く。普段なら何も感じないはずの病室の扉の隙間から、微かに冷たい空気が漏れていた。ほんの一瞬、廊下の向こうに人影が揺れた気がした。だが振り向けば、誰もいない。

愛媛の心をざわつかせる。


帰路の途中、街灯に紛れて、ひときわ異彩を放つ青いコートの女性が見えた。五月の陽気に似つかわしくない長いコート。人混みの中で、その姿は突然、ふっと消えた。存在したはずの影が、まるで霧に溶けるかのように――。


その背後に、誰も知らぬ静かな微笑みがあった。まるで、何かを見守るように。

愛媛は立ち止まり、背筋に冷たいものを感じた。「…今のは、幻か、それとも――」



それを貴方は見つけられるだろうか?


『全てが繋がったとき、

背筋がゾッとするだろうね。』

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