[第4もふ]役割分担もゆるふわと
12個。
その数字が、まだ胸の奥でぽわぽわと光っている。
「よし、じゃあ役割を決めよう」
ケモ男がホワイトボードを取り出して、キュッとペンを走らせた。
ケモジ:縫製担当
ケモ男:資材管理&発送準備
ポミイ:デザイン・広報(ついでに応援係)
「うん、いい感じだね!」
「……ちょっと待て」ケモジが眉をひそめる。「ポミイの“応援係”ってなに」
「応援、大事だよ! ほら、集中力も上がるし!」
私は胸を張った。
作業はすぐに始まった。ケモジがちくちくと縫い、ケモ男が布や糸を整える。私は横で「がんばれ〜!」と手を叩いたり、おやつの差し入れをしたり。
……しかし。
「……ねむ……」
ケモジのまぶたがとろんと落ちる。
「……あ、針が……」
危うく指を刺しかけた瞬間、私は慌てて声を張った。
「ケモジ! 休憩タイム!」
ケモ男が小さく笑う。
「さすがスローライフ。受注が二桁でも、ペースは変わらないな」
「だって、焦ったら針目もガタガタになるしね」
私はちょこんと座って、並び始めた小さなぬいぐるみたちを見つめた。
12個なんて、まだ遠い。
でも、ひとつひとつに心を込めれば、ちゃんと届く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます