画面の中と外と層(そう)

転生新語

プロローグ

 このしま辿たどいて、ちょっと時間じかん感覚かんかくがなくなっている。数々かずかず魔物まものあらわれ、そいつらをころつづける。そのかえしだ。


 あさて、よるる。なにがあろうが、殺戮さつりく日々ひびわらない。人類じんるい敵対てきたいしている魔物まもの対象たいしょうとはいえ、まったく罪悪ざいあくかんがないわけじゃないのだ。いまあさなのだろうが、世界せかいはとてもくらかんじられた。


 私とともにいてくれる、相棒あいぼう彼女かのじょが、かろうじて私の正気しょうきつなめている。この世界せかいで私と相棒あいぼうに、食事しょくじ睡眠すいみんかならずしもらないけれど、精神せいしんてき疲労ひろうけられない。これが一人ひとりたびなら、きっと私は発狂はっきょうしていただろう。


宿屋やどやでのごはんが、こいしいね……」


「いいね。そうやってさきのことをかんがえておこうよ。未来みらいへの希望きぼうがあってこそ、私たちはたびつづけられるわ」


 しまあるまわれば、私たちに魔物まものせてくる。正直しょうじきたいして移動いどうする必要ひつようすらない。しまちいさくて、そのしま目指めざしてうみから次々つぎつぎてき上陸じょうりくしてくるのだ。


 海洋かいよう生物せいぶつっぽいやつらがかってくる。クラゲがそらんできて、かたぱしから私はなぐたおした。けん使つかわない。てき小型こがたで、素手すでころすほうがばやいのだ。相棒あいぼう魔法まほう攻撃こうげきで、もうすこおおきなてき集団しゅうだんをまとめてたおしてくれていた。


「レベルアップまで、あと、どれくらいかしら」


かんがえないほうがいいよ。まだまだ目標もくひょうレベルはさきなんだから」


 アドバイスしてくれてる彼女かのじょも、精神せいしん状態じょうたいは私とたようなものだろう。私たちは、たがいをささつえのようだった。この世界せかいすくえる存在そんざい実質じっしつ、私たちだけで、その責任せきにんおもさを二人ふたりだけでささえなければならないのだ。


 さいわい、ゴールがちかいことはわかっている。魔王まおうぐんたおし、世界せかいすくうのだ。それが私たち二人ふたり存在そんざい理由りゆうだった。

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