第4話
トーカに指輪をあげてから、2日の時が経った。
あれから錬金術は出来ていない。
「何ボサっとしてるんだ? ステフ。ほら、行くぞ!」
なぜなら、こうやって毎日トーカが俺の元に来るかと思うと、模擬戦……というか、遊ばされてるから、素材を集める暇が無いんだよ。
……まぁ、トーカにとっては遊びでも、俺にとっては地獄でしかないんだけどさ。
トーカの左手の薬指に嵌めてある指輪を見る。
あれのせいで余計にトーカの体力が上がっていて、俺が疲れさせられてる気がするのは、気のせい……なんだろうな。うん。そのはずだ。
というか、今更なんだが、あいつ、なんで左手の薬指に指輪を嵌めてるんだよ。
いや、この世界でそんな文化聞いたことないし、たまたまなんだろうけどさ。
「き、今日はもうこの辺にしておかないか?」
なんで子供の頃っていうのは男の子よりも女の子の方が強いんだろうな、なんて思いつつ、体の痛みを抑え、俺はまだ木剣を振り回して遊ぼうとしている無邪気なトーカに向かってそう言った。
これ以上はマジでキツイから。
これは早急に身体強化的なことが出来る魔道具を作るか、体力を回復させる魔道具を作らないと俺の身がもたん。
「えー、もうか?」
「も、森の中、行こうぜ。もう魔物は全部狩られてる時間帯だしさ。この前は1人で行っちゃっただろ? な?」
ぶっちゃけ森なんて何も無いところだが、錬金術師な俺にとっては別だし、5歳児のトーカにとってもワクワクとする面白い場所のはずだ。
ということで、悪くない提案だと思うんだが……頼む。頷いてくれ。
「ま、まぁ、ステフが言うなら、いいぞ」
良かった。助かった。
これで後はトーカにバレないように、もしくは不自然に思われないように素材を採取するだけだな。
「よ、よし! そうと決まれば、さっさと行こう!」
体の痛みはまだ引いてないが、俺としても早く錬金術に使える素材を手に入れたかったから、そう言って森に向かって歩き出した。
歩いている途中、何気なく蹴ろうとした石を俺は寸前で足を止め、その石を拾った。
全く他の石との違いが見た目では分からないが、これは錬金術に使える石だと俺の知識……いや、スキルか? が教えてくれたから。
石をポケットに入れながら、前を歩いているトーカを見る。
よし、気が付かれてないっぽいな。
「そういえば、ステフ」
そう俺が安堵した瞬間、突然トーカが顔を後ろに向けてきたかと思うと、そう声をかけてきた。
「な、なんだ?」
まさかバレたのか?
い、いや、確実に視線は向けてきていなかったはず。
……いくらこの世界の人間でも、この歳で気配でバレるなんてことはいくらなんでも無いだろうし……本当に一体何の用だ?
「この指輪、どうやって作ったんだ?」
……石を拾ったことがバレるよりも面倒な質問が飛んできてしまった。
「が、頑張ったんだよ。俺にとって大切な存在のトーカの事を思って作ったから、なんか、想像より上手くできたんだよな。……ハハハ」
「ッ、そ、そうなのか……」
俺の答えに納得ができたのか、トーカはそのまま前を向いて、森に向かって進む歩みを早めてしまった。
いや、なんで早めるんだよ。
……疑われてる訳じゃないのなら、別にいいんだけどさ。
そして、森の中に足を踏み入れた瞬間、俺は見つけた。
何の魔物かは分からないが、何かの魔物の血が付着したポケットサイズの石を。
あ、あれ、めっちゃ欲しいぃぃ!
で、でも、場所がトーカの足元だ……トーカ、そこ、退いてくれないかな。
「なぁ! せっかく森に来たんだし、追いかけっこでもしようぜ!」
凄く子供らしくて良い提案だ。
本来なら体の痛みが残ってる状態でやりたいことでは無いが、今は話が別だ。
だってトーカの足元に欲しい石があるんだもん。
出来ればバレずに拾いたい石だ。
「それか探検!」
「いや、追いかけっこにしよう。今なら、俺が追いかける側をやってやるよ」
「いいのか!?」
どうせ俺が逃げる側だと、直ぐに捕まるだけだしな。
……まぁ、追いかける側だと追いかける側で捕まえられないんだけどさ。
少なくとも、あの石は拾えるし、別にいい。
「あぁ、だから、逃げてくれていいぞ」
「うん!」
トーカが逃げるのを横目に、俺は石を拾った。
面白い魔道具が作れそうな気がしてきた。
魔法文明が何一つとして無い脳筋世界に転生するらしいから、錬金術師にしてもらって好き勝手に生きる話 シャルねる @neru3656
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