第2話 第1回債権者集会

 投資先の会社に連絡がついたのは年末が最後であり、年が明けてからは破産管財人の弁護士から通知が届きました。

 ○○株式会社は倒産することとなったので、今後の窓口は当弁護士事務所が担当いたしますというむねの通知でした。

 これは困ったことになったと思い、その弁護士事務所に連絡をします。


 するとまずは契約関係をはっきりさせたいので契約書一式のコピーを送って欲しいとのことでした。

 要するにこれは「枕崎まくらざき純之助さんは○○株式会社と正式に契約を交わしており、本件の正規な債権者ですよ」ということを証明するためです。

 僕はそうした手続きを淡々たんたんと進めていきました。


 怒りやあせりといった感情もありましたが、自分自身ではなく父が生前に行っていた投資ということもあり、自分の資産から投資をしたわけではないので僕はどこか冷静でした。

 そして正式に債権者であることを証明した僕は、債権者集会への切符きっぷを手にするのです。


 債権者集会。

 それは債権者たちを集めて、破産管財人と債務者が状況を説明し、質疑応答をする場となります。

 開催されたのは会社が倒産してから何と9カ月後でした。

 集会の舞台は東京都目黒区の「東京地方裁判所中目黒庁舎(ビジネス・コート)」という場所です。

 会場に到着すると、僕と同じ債権者の人たちがすでに集まっていました。

 

 ハッキリ言ってそこにいる人たちは皆、投資先の会社に倒産されてしまうというき目にあった人たちなので、そこには負のオーラが渦巻うずまいていました。

 不安そうにしている人。

 怒りで目をり上げている人。

 当たり前のことですが誰1人としてノンキに構えている人はいません。


 今からこの人たちと共に会場に入り、債権者集会に出席するのだと思うと僕は緊張しました。

 なぜなら……ここにはこの倒産劇の最大の戦犯である○○株式会社の社長も当然のごとく出席しているからです。

 会社の経営を失敗し、倒産させ、僕のような債権者を数多あまた生み出したその社長が一体どんな顔で会場に入って来るのか。

 先に会場入りして席に着いた僕をふくめた債権者全員が固唾かたずを飲んで見守る中、司会進行役の裁判官さんたち、破産管財人の弁護士さんたち、そして……社長やその会社の役員たちがその場に現れたのでした。

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