第29話 ②手で持てる大砲
長い休暇?休暇扱いかどうかわからないが、大砲を作る現場に戻ってきた。
男爵になったブリジッタを連れたままテレサは宿舎に戻ろうとすると、軍曹が
「あっちの宿舎に入ってくれと」
所帯を持った人が入る家を指していった。
「物は相談だが、手で持てる大砲のようなものは考案できないか?」
「一人一人が持つのですか?」
「そうなれば、戦争が変わる」
〇×△
文献を探すと、中国というところには、人がわきに抱えて大砲を打っている絵があるそうだ。
そういうのじゃないな。
ポケットに入る小さな大砲、大砲っていうのはおかしいな、拳銃が最終目標だが。
最初は、遠くへ弾丸を飛ばせるのを考えてみよう。
全てのパーツが小さい。精度も上がる。ドワーフの力でもいかんしがたくなるような予感がする。
〇×△
軸の端にはブツをつかむチャックをつけた。反対側には刃物を取り付けれるようにした。そこを回転させる。速度は可変。
長い鉄の棒をチャックに挟んで、刃を回転させながら削っていく、外形が円筒になる。内側をザぐるようにすれば、中空の円筒ができる
旋盤と名付けた。
プーリーを使って主して装置の上部に重りを持ち上げてどんと落とす。その力で、板をくりぬいたり、下に置いた金型に合わせて変型する装置を作った。
プレス機と呼ぶ。
間違って自分の手をつぶさないように、加工する部品が乗る台の両端に二つのスイッチを設置して、両手で同時に押さないとプレスは実行しないように工夫した。
上下する取り付け台にドリルを取り付け、万力でブツを台座に固定する。大量の穴あけを容易にするドリルを作った。ドリル自体は、ドワーフのベテランに手作りしてもらう。
ドリルは下方向だけの掘削ができる。
ドリルの刃の横にも細かな刃をつけ、回転速度を上げ、台座を左右に動かせるようにした。
フライス盤と呼ぶことにする。
〇×△
ドワーフは細かな作業が嫌いらしい。今回作った装置を使えば、構想を実現できるパーツを短時間に試作できるはず。
まずは真鍮製の弾丸。直径8mm、長さ12mmを規定した。先端には爆裂魔法を付与。底の部分には、高速回転と破裂魔法を付与。もちろん火薬が入っている。
長さ1mの細い筒状の砲身を作ってテストを始めた。
人が持ち運びができ、抱えると発射時に邪魔にならないよう、グリップと銃床を工夫した。
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