第25話 ①アールグレイの誕生

 ダックスの子供を連れて、今日はブドウ畑や野菜畑の害をなすラビット狩りだ。

斜面にある巣の入り口は見つけてある。

 シーちゃんとか、悪ガキ数名は、離れた別の出入り口に針金を輪にしたものを手にして待機だ。


 ダックスの子供が巣穴に頭を突っ込む。足で土を書き出し、だんだん奥に潜っていく。もちろん、ワンワン吠えながら。

 すると、別の出入り口からラビットが顔を出す。きょろきょろと周りを見渡そうとする前に、すぐさま輪っかをひっかけ絞ると、ラビットが釣れた。

 今日は大漁だ。


〇×△


 川のほとりには、上流から流れてきた太めの枝とかを集めて秘密基地を作っている。中はいっぱい乾燥した草を引いているので休憩ができる。

 疲れたので、みんなは雑魚寝でお昼寝タイム。僕は起きると違和感を感じた。あそこがごわごわする。シーちゃんは、川で水浴びをしている。どうしてしまったんだろうと、においをかぐとなま臭い。


 シーちゃんは、体を乾かしてこっちに来た。

「くさいんだー」

「ぼくどうしたの」

 シーちゃんはいうには、寝てたら背中に硬いものが当たったので握ってみると僕のチンチンだった。硬いのでさすっていたら急にぴゅーって白いのが飛んできたので、川で体を洗っていたんだそうだ。


 13歳の夏


〇×△


 家に帰ると、姉イザベラがいた。島の北側に嫁いでいたのにどうしてだろう。庭で紅茶を入れている。とても儲かっているそうだ。なんかむっちゃたくさん作っているらしい。


「でもねー、品質がもひとつなのね。庶民には十分なのだけど、お貴族様には香りが足りないそうだと」

「香りってどうやると強くなるの」

「とっても複雑なんだそうだ。本で調べても、当たり前のことしか書いてない。どうも土の種類や肥料、日射量とかも影響するのねー」

「この辺りは石灰岩が多いのでブドウには適しているらしいと聞いたことがあるよ」

「北側は、樹海だったところだから、はっぱが堆積して土壌は植物の育成にはあっているらしいんだけどね」


「茶葉に限界があるなら、これはどう」

 僕は、シスターにお礼にともらったバラの精油を出した。

「いいわね、でも、ちょっときつめだね。でもありだわ」

 あのいわくつきシトラスの精油を出してきた。

「へー、すっごくさわやかな香りね。これもらうわ」


 その後伝え聞くに、精油をうまく混ぜる方法を確立して、アールグレイという紅茶を作って売ってるそうだ。とっても高額にしたのに、貴族の間にはあったいうまに広まってしまい、王族のお抱え商店からも特別に納品せよという連絡が入ったそうだ。

すばらしい。


 中国というところから輸入している紅茶の中にもアールグレイはあるそうだ。そっちは苦い香りがするらしい。もともと薬膳として作られたらしい。

 姉の農園で作るアールグレイは柑橘系の香りがほんとうにさわやかに漂うのだ。

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