第10話 ①茶葉を作るに至った経緯

 僕の姉は、シチリア島の北側の荘園に嫁いでいる。山の中腹に近く、朝夕には霧が出る。朝摘みの茶葉を加工すると甘みのあるお茶が作れ、この国の人たちの好む紅茶も作れる。

 もともと樹海が近く、野生動物も多かったので、広い畑はなかったのだけれど、姉イザベラの持つスキルで、どんどん開拓が進んだ。スキルは天地無双。木こりが大木を切り倒した後、根っこを引き抜くのだ。本来なら、牛を2頭使ってやっと引き抜ける重労働がたやすく完了する。このスキルはすごい。


〇×△


「しっかり聞いてるんですの」

「もちろん」

「だったら、そのお尻を撫でまわすのを待ってくれませんか」

「だって、とても気持ちいいからね」


 いつだって、決め事は、ピロートーク中に決まるのがこの夫婦の日常。

「小作たちを開放したいのです」

「それはまた、たいへんな決断だ」

「私の実家はブドウの生産量が3割も上がったのです」

 夫の片手は、胸に移った。

「聞いてますの?」

「しっかりと」


〇×△


 天地無双のスキルを使って、凸凹している斜面を、なるべく平坦になるように畑のブロックを作っていく。ブロックの中はほぼ水平で、200mほど続くようにした。

もともと耕作する土地が少なく小作人も多くはなかった。広い畑にはお茶の木を3列ずつ植え、3mほど離れてまた3列で植えるというスカスカ状態にした。


 3年すると、初摘みができる。人がたくさん必要だ。近くの町のほうにも声をかけ、50人ほど集まった。人海戦術だから、品質は安定しないが、初仕事だからしょうがないとあきらめる。


〇×△


「しっかり聞いてるんですの」

「もちろん」

「だったら、そのお尻を撫でまわすのを待ってくれませんか」

「だって、とても気持ちいいからね」


 いつだって、決め事は、ピロートーク中に決まるのがこの夫婦の日常。

「あなたのスキルで、こういうのを作ってくださらない」

と、長く温めていた茶摘みマシンの構想図を見せた。この小さなナイフを風魔法で回転させるのか。で、茶の先端が3cmほどカットされ、風で後方の袋に吹っ飛ばされるという仕組みなんだね。

「わかった」

といって、また胸を触ってくると、今度は馬乗りになって、吸い始めた。

尻をつかんでいた手を爪を立てて、軽くひっかいてくる。

「ひゃー」

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