②:キャラクター選択の違和感



ゲームソフトを挿入したあと、カーペットに零れたお茶をやっと掃除し始めたが、あまりのカッコイイゲームのオープニングに思わずその手が止まった。

つーか、お茶に塗れてもゲームソフトはしっかり無事だったらしい。

俺はそろそろゲームに集中したくて、脱衣場からバスタオルを持って来ると、カーペットの濡れた部分を覆うように、それを広げた。


うん。これで、少しはマシになるだろう。

さ、ゲームだゲーム。


学生の頃だったらこの辺で親がやって来て「またゲーム?」だの「目が悪くなっても知らないよ」だの言われてうるさかったけど、今の俺は22歳の社会人。

もうとっくに実家を出て独り暮らしをしているから、いくらゲームをやっていても誰にも文句は言われない。


現在、夜の19時過ぎ。

明日は会社が休みだし、ゆっくりゲームが出来る!


俺はそう思いながら、最初のモンスターの選択画面にいって、一緒に旅をするモンスターを選択した。



……でも。



「…うん?」


なんだ?このキャラクター…。


種類豊富で見慣れたキャラクターたちが並ぶなか、何だかこのゲームに似つかないの存在が、ふと目に留まった。

は一番最後まで画面をスクロールしていくと、ぽつんとした画面の隅のほうに描かれている。


色鮮やかなモンスターたちが並ぶなか、この見慣れないキャラクターは人間のような見た目をしていて、黒髪の短髪に眼鏡、腕…はあるけど不自然で、手先までは何故か描かれていない。

それに、何故か片足がなく、キャラクターの表情も他のモンスターと違って生き生きとしておらず、どこか不気味で、悲しげな表情にも見える。


こんなキャラいたっけ?新キャラってことか?

そう思いながら、せっかくだからこの不思議なキャラクターを選択しようとしてみるが、何故かこのキャラクターだけ選択が出来ず、この不思議なキャラクターはただその画面にいるだけである。


バグってやつか?…気持ち悪!


だけどこのゲームは、これほどまでに世界的に大人気のゲームソフトだ。

俺以外にも数えきれないくらいの人達がこのゲームを楽しみにしているのに、こんな堂々としたバグなんてあり得るんだろうか?

俺はそう思うと、SNSで検索したら出てくるかな、とテーブルの上に置いてあるはずのスマホを、テレビ画面を見ながら手探りで手に取ろうとした。




…しかし。


「あれ?」





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