奇妙なゲームキャラクター

みららぐ

①:待ちわびたゲームソフト



玄関でチャイムが鳴ったと同時に、俺は一人用のテーブルの上に置いてあったグラスを右腕で派手に倒した。

その衝撃で、昨日洗濯したばかりのカーペットに、冷たいお茶が広がっていく。


「マジかよ…!」


しかし、今の俺はそんなことに構っているヒマはない。

俺が濡れたカーペットと玄関を交互に見ながら慌てていると、そのうちにまた玄関でチャイムが鳴った。


「は、はい!いま行きます!」



…………



「やっと届いた…!!」


今日は、世界的に大人気のあのモンスターバトルゲームの発売日。

玄関先でようやく荷物を受け取ってリビングに戻ってきた俺は、さっきこの場でお茶を溢したことなんかすっかり忘れていた。

今日という日をどれくらい待ちわびていたことか…!!


濡れていないカーペットの上に再び腰を下ろすなり、俺は鼻歌交じりでそのゲームソフトを開封する。

楽しみすぎてゲームソフトが入っている小さな平べったい段ボール箱を派手に破り開けると、やがてようやくそのゲームソフトが姿を現した。


「これこれ!これですよ!!」


一人しかいないリビングで俺は派手な独り言を言いながら、次にゲームソフトのパッケージを覆っていた薄いナイロンを破り開ける。

パッケージを開けるとそこにはしっかりとゲームソフトが入っており、よく見ると一緒にモンスターのキャラクターのステッカーが数枚ほど封入されていて更にテンションが上がった。


「やべー!アガる!!」


しかし、独り言を続けながら今度はそこからゲームソフトを取り出すと…


「っ、ヤベ!!」


その瞬間、ゲームソフトを取り出したばかりの手が滑ってしまい、さっきお茶を派手に溢したその真上にゲームソフトが落ちてしまった。


「あああーっ!!!」


バカ!俺バカ!!

慌ててゲームソフトを拾い上げるが、まさかこれで壊れたなんてことはないよな!?

そう思ってソフトの状態を確認するが、一応お茶の上に溢しても大丈夫なような作りには見える。

…ステッカーの方ならアウトだったな。



だけどいま思えば、この水分にソフトを一瞬でもさらしてしまったのが悪かったのか?


このあと、ゲームソフトをティッシュで丁寧に拭うと、俺は即座にゲーム機にソフトを挿入した。が…




まさかこの後、俺にとってあまりにも不気味で奇妙な体験をすることうになろうとは、この時1mmも予想していなかった───…。







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