第16話 何を言い出すの?
オイゲンはカレンの言葉に反応する。頬を膨らませて理由を訊いてくる。
「どうしてですか?」
「強国であるザクセン王国やプロイセン王国が盗賊団のために私たちと同盟を結ぶ必要なんて無いのです。つまり、私たちと同盟を結んでも両国とも私たちを守るためだけに兵力を使うことになります。単純にデメリットしか無いということです」
「では、同盟を結べないということですね?」
「そうとも限りません」
「おかしくないですか? 今、カレンさんはザクセン王国もプロイセン王国にも僕らと同盟を結んでも得が無いという話をしましたよね」
「ええ、そうです。だからこそ、同盟を結ぶのであれば別の目的があると考えるのが普通なのです」
カレンの答えにオイゲンは瞬きを繰り返しながら口を開いている。何かを答えようとして言葉が出てこないオイゲンのことを見てマティルデは、はあ、とため息をついてから話に割り込む。
「あのねオイゲン、カレンさんの言っていることは、両国が同盟を結ぶのであれば、私たちを守るためでもお互いに協力し合うためでもないってこと。分かりやすく言うならば、私たちを取り込むために行われるということ」
「取り込むって?」
「私たちの領地を狙っているってこと。もし、同盟国が盗賊団から守るために兵を派兵してきたとして、その兵をどうやって追い返せばいいの? そこまで狙っていなかったとしても、衣食住を要求された場合、断ることができるの? 自分たちより強国なのに」
マティルデが言うとオイゲンは身を引く。唇を尖らせているが、何も答えない。マティルデは少しオイゲンのことを待つが、何も反論をしてこないのでカレンの方を見た。
「マティルデさんが話される通り、同盟も難しいのですよね。ザクセン王国は遠いですが血縁関係があります。だから武力を用いてくることも少ないようにも感じられますが、血縁関係があるが故に下手をすれば吸収される可能性があります。同盟を組んだとしても油断はできません。では、血縁関係が無いならば安全かと言うとそんなことはありません。プロイセン王国はもっと危険です。彼らは東方の未開拓地に進出していると噂があります。領土拡張に貪欲と見るべきでしょう」
「では、どうすれば……」
カレンの言葉にオイゲンが戸惑いの言葉を返す。その様子を見て、マティルデは少しだけ頬が上がる。
「カレンさんは私たちの兵力強化を望まれているんですね」
「いえ、兵力強化までは……、ですが、防衛能力の強化は必要だと感じています」
「防御力? つまり、カレンさんあなたは
「城!? そうですね。城の防御力は重要です。
マティルデはカレンがそこまで楽しそうに話しているのがわからなかった。城の建設なんてお金がかかる。そう簡単にいくはずもない。否定的な言葉を並べたかったが、カレンは人の話を全く聞かずに、一人で城の建設に関して話し続けていた。
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