第19話 防衛都市の家 8日目

AM 10:00

[トダユイサイド]

 「さー始まりました!!サイカちゃんの日!常!見!学!

 早速ですが、こちらの家を解体していきたいと思います!」

「ちょーいちょいちょい。ここ私の家だってば!」

「関係ねーしー!!まずはリビングで鎌を振り回しましょう」

 斬斬斬

「ちょーいー」

「トダユイ危ないから下がって」

 無理やり下がらせられた。

 なんなのこれ。「殺人鬼カレンちゃんの実態に迫る!」の動画を撮ろうとサイカちゃんに持ちかけたらこれだ。

 流石に激オコなんですが。

 サイカちゃんは、

「瓦はリズミカルに壊しましょう」

「水道管をぶっ壊したらシャワーを浴びれまーす!」

 などと言いながら家をぶっ壊しまくっている。

「あーしの私物とかどうするつもりなのよ!」

「心配するでない私物なら移動しておいた」

 サイカちゃんがいつの間にか近くに来て話しかける。

 私の家は既にスクラップになっていた。

「へ?どこに」

「時計台のある家じゃ。不満ならほかの家に運ぶがよい」

「あんたねえ!そういう配慮はできるのに何で家ぶっ壊すのよ」

「ここは前線に近すぎるのでな」

 サイカちゃんは真面目な顔をして言った。

 確かにここは1丁目の外周に位置する家で最近の強敵は皆この『一丁目北』から出現している。今まで壊されなかったのは奇跡と言っていいだろう。

「あとはワシの殺人鬼としての力を世に見せつけるためじゃー!ヒャッハー!!」

 とサイカちゃんはいつもの調子で言った。

 まあ防衛に関しちゃ助けられっぱなしだから文句は言えないけど

「洗濯機に服が入ってたんだけどそれも移動してくれたのよね?」

「そいつは知らーん!今頃はこのスクラップの中じゃろう!」

「はぁ~?ふざけんじゃねーーー!」

 やっぱ許さん。


PM 6:30

[ケンタサイド]

「さて、午後に各収集所に武器を運んでくれたわね助かったわ。シールドだけど耐久力1000の物が計6つ出来上がったわ。極力近接戦闘は回避して、有事の際のみ使いましょう。作戦はもうここから変えるつもりはないわ。どこにでも敵が出る可能性がある以上基本はこの家の周辺で待機よ。」

 カザキリの指示は的確でわかりやすい。

 やはり僕なんかが代理を努めるには早すぎるだろう。

「あとあなたはサイカちゃんなのよね?」

 カザキリが僕の隣にいる猫の着ぐるみに話しかける。

「ワシはサイニャだニャよ?」

「はい、サイカちゃん確定ね。雨対策ということで了解したわ。ちなみにそれはどこにあったのかしら?」

「3丁目の武器庫の奥に『防弾防刃性バツグン!』と書かれて置いてあったニャ」

「そう。機動性に支障がないなら問題ないわ」

「問題ないわー!ワシを誰じゃと思っておる―!」

 煽られると猫語は死ぬらしい。

「あーしもあとで探そう」

 トダユイ好きそうだもんなこういうの。

「さて、質問タイムね

 質問⑧:現時点において最も攻撃力の高い攻撃は何で、シールドの耐久値はどのくらいまで減るかしら?」

「回答⑧:最も攻撃力が高いのはレベル7騎士型ヒューマロイドによる攻撃で、1撃で耐久値が300減少します」

「騎士型は瞬殺しないとまずそうだな」

 だが僕たちは今日の戦いで騎士型など足元にも及ばない脅威と戦うことになる。


PM 7:00

 ビービー

「WAVE1 3丁目南にレベル2犬型ヒューマロイドが5体、レベル3犬型ヒューマロイドが2体出現。直ちに防衛に向かってください」

「現状最弱のレベル2、3コンビ来たわね。弾薬はたっぷりある上に『防衛都市の治癒』も残っているわ。惜しみなく銃を使いなさい」

 そう、僕たちは全員、昼の装備集めが終わった後銃撃の訓練をしていた。

「バイクと銃の両方は無理だろ健太俺が乗せてってやるから来い」

 僕がカザキリの方を見ると、

「いいわ、それで行きなさい」

 と言った。


 シールドはバイクの脇に乗せ、ハンドガンとサブマシンガンで出撃した。

 犬型と狼型を見つけると頭をめがけてハンドガンで撃った。

 バン、バン、バン、

 バン、バン

 バン、バン、バン、バン、

 7対中3体に当たり、行動不能となった。

「バイクの方が早いから旋回して何回でもチャンスを作れるぜ」

 残る4体の内3体に同じように当てたが、最後の狼型の1体は外した。

「バウウウーーー!」

 バン

 狼型が迫ってきたが間一髪のところで弾を当てた。

「危なっかしいな。次からはサブマシンガンで行こうぜ」


PM 7:20

[サイカちゃんサイド]

 ビービー

「WAVE2 2丁目東にレベル4狩人型ヒューマロイドが4体、レベル6忍型ヒューマロイドが2体出現。直ちに防衛に向かってください」

「速攻型ね、サイカちゃん任せたわ」

「任せー!速攻で切り刻むわ!!」

 バイクとやらには乗らず必殺技を使う

 「サイカちゃん流奥義 その22!

 さい 禍 《か》 ばく そく!」


しばらく行くと狩人型と忍型が見えた。

 「サイカちゃん流奥義 その1

 さい しゅう

   らい

 ジグザグに斬る攻撃で、狩人型をまとめて葬る。

「【Lv2】レベルアーップ!からの【Lv2】」

 忍型が2体挟み撃ちで小刀攻撃を行う

 シャッ 遅い シュン

 シャッ 遅い遅い シュン

「【Lv2】サイカちゃん流奥義その4

 一刀いっとう

  惨殺ざんさつ

【Lv2】」

 忍型はバラバラになった。


PM 7:30

[カザキリサイド]

 ビービー

「WAVE3 4丁目西にレベル3狼型ヒューマロイドが2体、レベル5熊型ヒューマロイドが1体出現。直ちに防衛に向かってください」

「新井健バイクの高出力ブレードで撃破しなさい。戸田唯あなたはカウガールの銃撃で狼型を屠りなさい」

「おお」「うっす」

 ロケットランチャーがある以上、高出力ブレードは惜しみなく使うわ。


PM 7:40

[カザキリサイド]

 ビービー

「WAVE4 1丁目北にレベル7騎士型ヒューマロイドが2体出現。直ちに防衛に向かってください」

「騎士型ね、私とサイカちゃんで出るわ」

「風切さん大丈夫なんですか」

 佐藤智樹が言った。

「ロケランの使い方には自信があるから、サイカちゃんは予備よ」

「【Lv2】いや、司令塔よ、1体はワシに任せよ。次の新型に向けてレベルを上げておきたい【Lv2】」

「レベルが何なのかよくわからないけど分かったわ。必ず殲滅しなさい」


 1丁目北で騎士型が見えるとためらわずロケットランチャーを撃った。

 命中。反応も消え、残りは1体。


[サイカちゃんサイド]

 残った騎士型はまた笛を吹こうとしておった。

「【Lv2】させんぞ、サイカちゃん流奥義その6

 真

   空

 波!

【Lv2】」

 斬撃の刃が飛び、騎士型の指を切り裂いた。

 こやつ思ったほど固くないかものう。

 騎士型はそのまま民家の上に飛び乗ろうとしておるようだが最寄りの民家はワシが今朝スクラップにしたため跳躍に時間がかかっておる。スクラップにしておいてよかったわい。

 「【Lv2】それもさせんぞ!サイカちゃん流奥義 その8

  1さい

   

  4えん

【Lv2】」

 体をコマのように回転させ、騎士型を切り刻んだ。

 ギギギギギギギ

 ドシャッ

 騎士型ははじかれ、スクラップの上に仰向けで落ちた。

「【Lv2】続けるぞ、サイカちゃん流奥義その3

 災禍惨劇さいか

 災禍惨劇さん

 災禍惨劇げき!!

 【Lv2】」

  左袈裟、袈裟、左一文字と鎌を振る。

  仰向けの騎士型の体がバラバラになった。

「【Lv3】レベルアップじゃー!なるほどLv3の必殺技では壊せるということじゃのう【Lv3】」

 次はどんなのが来るのか楽しみじゃ!!


PM 8:00

[カザキリサイド]

 ビービー

「WAVE5 1丁目北にレベル8女王型ヒューマロイドが1体出現。直ちに防衛に向かってください」

「来たわね新型。サイカちゃん。さっきと同じで私がロケットランチャーを打ち込むから行動不能に持ち込めなかったら戦闘を開始して」

「【Lv3】よいよいサイカちゃんはロケランより強いからのーう!【Lv3】」

 

 出現ポイントに向かう。

 そこには髪が5方向に伸びており、顔は無機質、剣と盾を携えた、言うなれば氷の女王とでも言うべきヒューマロイドがいた。

 出現位置から1歩も動いておらず不気味だった。

「くらいなさい!」

 ロケットランチャーをぶち込んだ

 ボゴオオオン

「やったかしら?」

 爆炎が晴れると無傷の女王型がいた。

「な!無傷」

 女王型は両手を前に広げた。

 途端に髪に当たる部分が光りそこから細い刃状のものが大量に飛び出してくる

「【Lv3】防げ、司令官!!【Lv3】」

 とっさにバイク脇のシールドでガードする。

  ガンガンガンガンガンガンガンガン

  1撃につき耐久値25減少。ものすごい勢いで耐久値が減っていく。

  シュン、シュン、シュン、シュン

  サイカちゃんがすさまじい回避能力でこの全方位攻撃を避けていた。

「【Lv3】ぬおおおおおお!サイカちゃん流奥義その5!

  凸 凸 凸

  げん とつ 

 【Lv3】」

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

 サイカちゃんが倉庫の方に女王型を押しやる。

 完全に中に入ると

 ガチャン

 内から鍵を掛けた

「【Lv3】司令官よコイツはワシに任せい。明らかに今までのモノとは違う。ワシでないと歯が立たんじゃろう【Lv3】」

 ロケランが効かない以上、本当に彼女に任せるしかないのが事実だった。

「……分かったわ。必ず倒して帰ってきなさい防衛はまだあと2日残っているのだから」

「【Lv3】うむ、明日は焼肉パーティーがしたいから肉を用意しておけ【Lv3】」

 それ以降サイカちゃんは何も言わなかった。

 

[サイカちゃんサイド]

 「【Lv3】さてLv3の必殺技では倒せんということが分かった以上、ワシはLv4を目指そうと思う。しかしこのレベルじゃがLv1→Lv2は1撃でレベルが上がるが、実はLv2→Lv3は10撃、Lv3→Lv4には100撃を当てねばレベルが上がらんようになっておる。つまりは経験値が必要じゃ【Lv3】」

 女王型の全方位攻撃が来るので一旦回避に専念する

 シュン、シュン

「【Lv3】壁や地面を斬っても経験値は貯まるが…」

 シュン

「それはワシの美学に反する…」

 シュン、シュン

「先ほどの げん とつ で…」

 シュン

「25撃は与えたから残りは75撃…」

 シュン

「当てさせてもらうぞ【Lv3】」

 シュン

 攻撃が止んだ。

「【Lv3】サイカちゃん流奥義 その23 奥義省略【Lv3】」

 これで『サイカちゃん流奥義~』と言わなくても技が使える。

「【Lv3】行くぞ【Lv3】」

 女王型が剣を構える

「【Lv3】『災禍繚乱』【Lv3】」

 旋風を巻き起こし攻撃を当てる。26,27

 女王型はびくともせずこちらに剣を振るう

 ガン 鎌で受け止めるもとてつもない衝撃であった

 バッ 一旦距離を取る。

「【Lv3】キル、キル、キル【Lv3】」

 剣ではじかれるも

 ガンガンガン 28,29,30

 女王型が人差し指をこちらに向けるとレーザーが一直線に向かう

 シュン ビーー

 レーザーが当たった先に風穴が空いておった。

「【Lv3】そんな攻撃もあるのか【Lv3】」

 関心は慢心じゃ

「【Lv3】『災禍円舞』!【Lv3】」

 鎌で回転しコマ上になって女王型にぶつかる。

 ガガガガガガガ 31,32,33,34,35,36 ヒュン 途中で回避しおった。

 シャッ 首元に剣が迫る シュン 間一発で回避

 反転し反撃 ガンガン37,38

 女王型が跳躍し10指でレーザーを放つ

 ビーーーーーー

「【Lv3】ちぃ【Lv3】」

 回避に専念する。

 シュン(左前)、シュン(右前)、シュン(左後) 

 シュン(左後)、シュン(前)、シュン(バック転して後ろ)

「【Lv3】『星裁光禍』!【Lv3】」

 斬撃を上空に打ち上げる

 ザザザザザザザ39,40,41,42,43,44,45

 傷1つない女王型が今度は二刀流で剣を構え攻撃するのでバックステップで回避する。

 ブン(袈裟)、ブン(左袈裟)、ブン(逆袈裟)、ブン(逆左袈裟)、ブン(左一文字)、ブン(一文字) ガン ここで防いだ

「【Lv3】『災禍惨劇』【Lv3】」

 ガン(袈裟)、ガン(左袈裟)、ガン(左一文字)46,47,48

 女王型の攻撃。

 ブン(左一文字)、ブン(一文字) 

 バックステップで回避。

 跳躍し

「【Lv3】斬、斬【Lv3】」49,50

「【Lv3】折り返しじゃのう!ペースを上げるぞ。『災禍強化』【Lv3】」

 体に力が漲る。


PM 9:00

[カザキリサイド]

 私は時計台のある家で他のメンバーと待機していた。

 サイカちゃん、あなたまだコイツと戦っているというの。


[サイカちゃんサイド]

「【Lv3】災禍襲来【Lv3】」

  ジグザグに女王型を斬る。ガン、ガン、ガン51,52,53

 女王型の5指レーザー

 シュン(左前)、シュン(右後) 回避後に『星裁光禍』! 

 ザザザザザザザ54,55,56,57,58,59,60

 女王型の剣撃(突き)

 ガン 突きを受け流し『 げん とつ 

 ダダダダダダダダダダ 61,62,63,64,65,66,67,68,69,70

 ここで女王型が謎の静止をした。両手を合わせておる。チャンスじゃ

「【Lv3】『災禍円舞』×2【Lv3】」

 体をコマのように高速に回転させる。

 ガガガガガガガガガガガガ 71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82

 ガガガガガガガガガガガガ 83,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93

 そのタイミングで全方位攻撃と10指レーザーの複合が来おった。

 全力で避けねばマズイ!

 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 ビーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 シュン(左前)、シュン(側転)、被弾した

 シュン(左後)、シュン(左前)、シュン(左前)

 被弾した、シュン(右後)、シュン(右前)

 シュン(バック転して後ろ)、シュン(左前)、シュン(左後)

 左肩と右足に全方位攻撃の方を食らったか、出血しておる。

 じゃが

 「【Lv3】『災禍繚乱』!『災禍惨劇』!【Lv3】」

 旋風を巻き起こしての攻撃 ザン、ザン94,95 、

 鎌による三連撃 ガン(袈裟)、ガン(左袈裟)、ガン(左一文字)96,97,98

 強力な攻撃を放った直後だからか女王型が静止していた。

「【Lv3】おまけじゃ!kill【Lv3】」

 ガンッ99

 辿り着いたぞ!

「【Lv3】『災禍襲来』【Lv3】」

 ジグザグ攻撃

 ガン、ガン100,おまけで101

 禍々しいまでに力が漲る。

「【Lv4】レベルアップじゃな、さて、終いにするぞ『奥義省略解除』【Lv4】」

 女王型が剣を上段に構えている。

「【Lv4】サイカちゃん流奥義 その9…」

 女王型が突っ込んでくる。

さい[災禍かほう]よう!【Lv4】」

 シュン

 女王型を中心とした円の円周上を飛び回り攻撃と跳躍を繰り返す。

 ザン、シュン、ザン、シュン、ザン、シュン、ザン、シュン…



 一通りの攻撃が終わった。

 女王型の方を見る。

「【Lv4】なんじゃあその余裕そうな顔は、まるで効いておらんという顔をしておるが、」

 女王型は微動だにしない。

「キサマ、もう壊れてしんでおるではないか【Lv4】」

 ズ…ズズ

 ドサッ

 ワシがそう言うと女王型はその首をゆっくりと落とした。

 敵ながらなかなかに天晴れな奴であった。

「【Lv4】あと2日の間も出てくるが良い、その度にワシが殲滅して、してや…ろう……【Lv4】」

 ドサッ

 なんじゃ、体に力が入らん。力を使い過ぎたか、此奴本当に天晴れな…奴じゃ…

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