第4話 正体
「ちゃんと前照らせよ!」
スマホのライトだけでは頼りないのか持っていた懐中電灯を取り上げられてしまった。
相当怖いのだろうな…。スマホを持つ手が震えてしまってる。もう一人は気がふれてしまったかのようにブツブツと聞き取れないような独り言を言っていた。
まぁそれも仕方のない事なのかもしれない。
四階に来てからはずっと視線を感じ、フロア内を駆け回っている足音に後ろからは誰か付いてきているような気配を感じる…。
今どんな気分なんだろう?いわくつきの場所に行って、運が良ければ心霊映像、もしくは心霊写真でも撮れるんじゃないか?それをYouTubeにでも上げればバズるんじゃないか?もしかして学校でも話題になるんじゃないか?
それが今では見るに堪えないほど怯えてしまい、声は震え、来てしまったことに後悔もしているだろう。
「何だよこれ…、何で登ってきた階段が無くなってるんだよ!」
元の場所に戻ってきたのだが、下りの階段は無くなり五階へ登る階段だけが残されていた。
するとおもむろに胸ぐらを掴んできて、
「どうするんだよ!だからさっき引き返そうって言ったんだよ!どうやって外に出るんだよ?」
青ざめた顔に震えた手で精一杯恫喝してきた。
「………思い出さない?2人とも…。前にもこうやって僕の胸ぐらを掴んだこと……そして殺してしまったこと……思い出さないかな?」
僕は目を見開き、禍々しいほどの満面の笑みを浮かべ胸ぐらにある手を掴み返した。
「誰だよ…お前?何で顔が歪んでに見えるんだよ?」
「……いや、前にも同じようなことがなかったか?」
もうこの男にに取り憑いてる必要はないな。
「フフッ……、少〜しずつ思い出してきた?そうだよ…。今のこの状況……まったく同じことがあったよね…。そしてこの後、階段から落としてお前等はそのまま逃げたんだよ……。」
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