第2話調査

あの夜から三日間、まともに眠れなかった。

少女と駅員の顔が、何度も夢に出てくる。

眠りの中でも、赤いランプの点滅がまぶたの裏に焼き付いていた。


耐えられず、私は踏切近くの古本屋で町の郷土資料を探した。

埃をかぶった新聞の切り抜きが出てきた。


「踏切事故、少女即死」

記事には、名を佐伯 真琴さえき まことと記された九歳の少女の写真。

肩までの髪、白いワンピース。間違いない。

だが、私はそこで妙な違和感を覚えた。


写真の少女は、あの駅員にも似ていた。


念のため、その踏切の管轄駅へ行ってみた。

あの夜の駅員を探したが、誰もそんな人物は知らないと言う。

勤務記録にも、その時間帯の当直は「不在」になっていた。


帰ろうとしたとき、駅員の一人が小声で教えてくれた。

「…20年前、あの子のお母さんが、この駅で駅員やってたんですよ」


私は背筋が冷たくなるのを感じた。

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