名が知られる様になった物書きの男がとある貴族の令婦人に招待される。 そして、或る モノ を見せられる。美しい人形の瞳の中には琥珀が嵌め込まれ琥珀の中には小さな虫が閉じ込められている。 それを見た瞬間、心が騒めく。ざわざわと、まるで小さな羽虫の蠢く様な 不穏な音が、耳の中に残っては忘れていた幼い頃の記憶を呼び覚ます。 昏い森の中 人形 暖炉の火 姉の、恐怖に引き攣った顔。不穏な記憶に触発されたのか、令婦人から書簡が届く。 そして。 た す け て それは 一体、誰の口から。