しかめっ面の最強剣士 剣士は約束を忘れない

烏鴉 文鳥白

第1話 最強のパーティ

「悪魔にとり憑かれている、ねえ」


 少女の向かいに座る青年は呆れたような表情をして、髪をぐしゃぐしゃと掻きまわした。


「悪魔にとり憑かれた奴と戦ったこともあるが……君はそう見えないけどね」


 夜の闇の下、炎に照らされる少女の瞳は、かすかにうるんでいた。少女がゆっくりと口を開く。


「今日は……村長の息子をケガさせて……」

「それでこの寒空の下、家から追い出されたのか……。でも、理由があるんだろ?」

「ウサギをいじめてたから……」

「うーん、多分うさぎじゃなくてホワイトドラゴンの幼生だと思うが……」


 青年は立ち上がった。その腰に太刀を帯びており、炎の明かりを受けて黒光りしている。


「僕は大陸のあちこちを旅しているんだ。君も来ないか? 君の『魔法』の才能はきっと誰かの役に立つ」

「ま、魔法……?」


「約束しよう。僕が君を最強の魔法使いへと導く。絶対に見捨てないし、危険に遭えば必ず守る。何よりも……孤独にしない」


 これが、いずれ魔王を打倒し大陸に平和をもたらす最強のパーティの始まりだった。

 しかし、この物語はあえてそれを描かない。


 物語は、この数千年後へと飛ぶ。

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