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「ちょっとちょっとちょっとっ、待ってっ、ちはやちゃんっ」

「よいではないか、よいではないか」

「こっ、こらあっ」

「あはは。ひかりちゃんの肌、すべすべだあ」

「ちょっ、ふはっ、ははっ、くすぐったいっ、くすぐったいいっ」

「くんくん。いい匂いもするよ」

「ふっ、ひゃははっ、そこはダメっ、ダメだよおっ」


 ちはやが、ひかりのいるソファへと突進してから、僕は二人を視界に入れるのをやめていた。うん、

「今、見たでしょ!?」

 と、ひかりに言われてしまうからな。

 じゃれ合う二人をほっといて、キッチンに行き、何か飲み物でも出してやろうと冷蔵庫を開ける。が、

「あれ? ……おーい、お二人さん」

 向こうを見ないようにして呼びかける。

 返事はない。

 でも、

「そう言えば、ちはやちゃん。雨、大丈夫だった?」

「うん。ちょうど電車の中だったからさ。でも、けっこうな土砂降りだったね。今日の庭の水やり、休めるのはいいけど」

「そうだね。水道代の節約にはなったね」

 わちゃわちゃ(もしくは、いちゃいちゃ)は終わって、何やら生活感のある話題に移っている。

 どうやら、ひかりがTシャツをぬがされた様子はなさそうだ。

 僕は心置きなく二人の方に顔を向けた。

「おーい、お二人さん。ちょっとこれ、冷蔵庫の中、見ろよ」

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