第47話 やっちまった(4)

「おっ、なんか効いてるな。これなら工場に行けそうだ」


 翌朝、洗面台の鏡に映った自分の顔を見ると、腫れがだいぶ引いたのが分かる。

 少し赤くなってはいるが、ぱっと見には分からないくらいにはなっていた。


「今まで能力の副作用だと諦めてたけど、薬を使ってみるのもありかもな」


 ラルにあの薬の購入先を聞いておこう……彼のことを頭に浮かべるだけで、顔が熱くなっているのが分かる。


「アイツが膝枕とかしてくるからだ」


 自分の怒った顔を見ながらそう言うと、棚から別の薬を取り出した。

 持続型耐光薬vam-ha。

 これはこの国で特別に作られた薬である。本来なら私などは手に入れられないが、暗殺部隊に所属しているということで配布されていた。


「一度、飲み忘れて酷い目にあったからな」


 そう言いながら、私は薬瓶から赤い錠剤を取り出し一粒飲んだ。

 これは二十四時間の太陽光耐性が得られる吸血鬼専用薬。もっとも、直射日光を浴びると二時間ぐらいが限界だ。日陰で普通に活動できる、そのくらいの効き目しかない。

 そう考えながら、ふと目の前の時計に視線を移した。


「おっ、もうこんな時間だ」


 それでも私は一度飲み忘れて死にかけた。あの時は苦しかった――そう思いながら、今日もラルに会える喜びを胸に出勤するのだった。

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