第4話 それぞれの魅力

 「皆様もお疲れ様でございました。お陰様でライダ国はわが国の属国となりました。属国からの税金が入るようになった分、皆様の税額は引き下げます」


 私の言葉に国民がわっと沸いた。

 私は拍手と歓声を受け続ける。有数の鉱山を保持するタールーラ国は決して貧しくはなかったが、徴収される税金が減額されれば誰だって嬉しいに決まっている。お手振りをひと通り済ませると、私は無言でバルコニーを去る。


 ジャスティンもレイも私が引き寄せた。

 だからと言って恋愛感情があるかと聞かれれば、分からないとしか答えようがない。

 いつでも直球勝負が眩しいジャスティン、無口で不愛想だが主人に誠実で忠実なレイ、召使いだが、その身分に収まらない才覚を見せるシモン。

 それぞれに魅力があり、能力がある。


 誰かひとりを選ぶなんてことはできない。


 私はドアに鍵をかけた。化粧も落とさず、ベッドに横たわる。スプリングが軋んだ音を立てる。皆、好きでは収まらないものかと、都合の良いことを考える。そうでなければ皆、そういう意味での好意ではないと言うしかない。


 私がベッドにダイブしたまま煩悶はんもんしていると、ドアがノックされた。


「誰?」

「俺だ」


 返事はクラークだ。


「なにか用?」

「お前、食事はまだだろう。適当に広場から見繕ってきた」


 そういえば、朝食を食べたきり、何も口にしていない。私はベッドから下りてドアの施錠を解いて開いた。


「入るぞ」

「どうぞ」


 クラークは応接セットのテーブルに数枚の皿とワイングラスを二つ置く。私はドアを閉めながら、どうしてふたつと思っていた。クラークは持ってきたワインの栓を抜き、二つのグラスに注いで言う。


「勝利の乾杯だ」

「えっ?」


 驚く私にクラークがもうひとつのグラスを握らせる。そして端と端を軽く合わせてチンという硬質な音を響かせた。


「あんなに酒を飲むなって言ってたくせに」

「一升瓶をビールグラスで飲むなと言っただけだ」


 私もグラスに唇を近づける。

 男達に求愛された私をクラークはどんな思いで見ていたのだろう。何も感じていないようにワインで喉を鳴らすクラークを凝視する。


 

 

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