第20話 報復
「トヨノ自動車から報告がありました。ご報告いたしますので、関係のみなさんと共有したいと思いますがいかがでしょう。」
「分りました。お願いいたします。」
椿弁護士、古田所長、娘の万里江さん、俺、浜島夫婦、四菱の風間若菜さん、一堂に会した。
「では、トヨノ自動車からの回答をお知らせいたします。まず、青島さんの奥様との不貞行為を認めました。その際、性的関係を強要したことや不当に買い叩いたことも認めたそうです。」
「差額を自分の懐に入れていたんですか?」
「いえそれは解明されなかった感じです。ですが、他の資材調達で失敗しており、その補填に一部を流用していたようです。」
「他にリベートや買い叩きなどは見つかったんですか?」
浜島がトヨノにリークした内容を尋ねると
「そこは、社内のことなのではっきり言いませんでしたが、そうとうあこぎな下請け叩きやリベートまでいかなくても接待や付け届けの要求はあったようです。」
「処分は?」
「懲戒解雇までは、いきませんでしたが、子会社のトヨノリース社に降格、出向となりました。ビジネスマンとしての人生は終わりです。」
一同は、顔を見合わせて納得した笑みを浮かべた。
「青島さん、これで奴への制裁はよろしいですか。」
「結構です。ありがとうございました。みなさんのおかげです。感謝しています。」
一堂を見回し、頭を下げた。
椿は続けた。
「柾木への慰謝料請求を進めたいと思いますが、本人にお会いになりますか。」
「はい、一度会っておきたい。」
その時、浜島の奥さんの亜希さんが口を開いた。
「夫婦のことは、私たちが口を出すことではないけれど、たとえ離婚となっても、
彼女の話だけは聞いてあげて。」
万里江さん、若菜さんも、俺を同じような眼差しをおくっていた。
俺は、妻と最後に向き合わなけばならない・・・。
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