第30話 お互いの髪をなびかせて

「ただいまー」

 シャーロットの家から真っ直ぐ家に帰ったシャロとリリー。一足先にリビングやキッチンをグルリと見て回るリリー。シャロも家に入ると忙しそうに部屋を回るリリーを見た後、リビングに入り、一人掛けの椅子に座り目を閉じた


「シャロ、いつの間に片付けしたの?」

 寝室やお風呂場等を見て回ったリリーがリビングに戻りシャロに問いかけると、閉じていた目をゆっくりと開けた

「片付けてないよ」

「じゃあどこに?」

 シャロの返事を待ちながら、シャロの周りをグルリと回る

「返すって約束したのに。ダメだよ」

「仕方ないじゃん。いつまでもずっと置くわけにもいかないし」

 そう言うと、また目を閉じ一息つく。家のリビングに、テーブルの上をカツカツと歩くリリーの足音が響く。すぐに歩くのに飽きたリリーがシャロの膝上に乗る。重みで目が覚めたシャロが椅子から立ち上がり背伸びをする。シャロが動いたせいで休んでいたリリーも椅子の背もたれに移動した


「そろそろ行くか」

 そう独り言のように呟き、黒く短い髪を手でなびかせ顔を何度か左右に振ると、シャーロットによく似た長く白い髪に変わった

「どこに行くの?」

「ちょっと遠くまで散歩に。リリーも行く?」

「仕方ないなぁ、行ってあげる」

 長くなった髪を邪魔そうにはね除けて、シャロの右肩に乗る。リビングを出ようとテーブルに背を向けた時、背後からコトンと物音が聞こえた。シャロとリリーが少し振り向いて音がした方を見ると、少し前にシャーロットに渡した本がテーブルの上に置かれていた。それを見たリリーがシャロの顔を見て

、羽を少し広げた

「そうだ。帰りに何か買って帰ろうね」

「そうだね、いつもとはちょっと違う物を買って帰ろうか」

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