第17話 甘い香りに誘われて
「前は食材があるお店ばかり寄っていたけれど、他にもたくさんあるのね」
町並みを散策するシャーロット。一件ずつ、ゆっくりとお店を外から店内を見て歩く。楽しそうに話す人達やお店の準備をする人達を見て、一人歩く緊張感が少しずつ解れていく。ふと、花屋に置かれた鼻の数々に目を奪われ花屋の前で足を止め、店頭に並ぶ見たことのない花やディオロイ城の庭に咲く花を見つけ、ニコニコと微笑み見ていると、お店の中いた店主のおばちゃんがシャーロットを見て微笑んでいた
「あっ、ご、ごめんなさい!」
目が合った店主のおばちゃんにペコリと頭を下げ、走って花屋から離れる。花屋から数店舗先まで走り立ち止まると、はぁ。と深呼吸をした
「ねぇママ!これ、おやつに食べよう!」
シャーロットがいる場所の向かいの道路から子供の声が聞こえた。シャーロットが声のする方に振り向くと、小さな女の子が母親らしき女性の服の裾を引っ張り、看板にクレープ屋と書かれたお店を指差していた
「おやつはさっき食べたでしょ?」
「ううん、ママはおやつ食べてないでしょ?だから、一緒に食べるの」
引っ張っていた服の袖を離し、今度は女性の手を握り、クレープ屋に向かって走っていく
「もう仕方ないわね」
と、苦笑いでクレープを一つ注文すると、店員がクレープを作る様子が見えて、女の子が目を輝かせ見ている。シャーロットも立ち止まりテキパキと作る店員の様子を見る。出来上がったクレープを女の子が持ち、女性と手を繋いで帰っていく。その後ろ姿を見ながらシャーロットもクレープ屋に近づいた
「えっと……。これください」
シャロとリリーを思い出し、たくさんあるメニューから一番人気と書かれたクレープを三つ注文する。シャーロットからの注文を受けて、またテキパキと三つ作る店員の手捌きに見とれていると、いつの間にかシャーロットの手には三つのクレープで手一杯になっていた
「……食べてもいいのかしら?」
女の子が美味しそうに食べていたのを思いだし、恐る恐るクレープを一口食べる甘いクリームと温かい生地が口一杯に広がり、シャーロットに笑みが溢れる。しばらくクレープ屋さんの前に置かれた椅子に座り食べていると、買い物帰りのご婦人達が会話をしながらシャーロットの前を通りすぎていった
「えっ?ディオロイ城に不審者が?」
「そうみたい。さっきから騒がしいの」
「つい最近も警備の方々が騒がしかったわよね、大丈夫かしら?」
「クローム様もノース様もしばらく居ないと言っていたのに、ねぇ……」
ディオロイ城のある方に少し目線を向けつつ話していた内容がシャーロットまで聞こえて、クレープを食べていた手が止まり、椅子から立ち上がると、シャーロットもディオロイ城がある方に目を向けた
「見つかったのね。もう早く帰らなきゃ」
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