第13話 ご飯の前に、一息を

「適当に過ごしててって言ってもね」

 一人リビングに残されたシャーロットが困ったように呟く。リビングをグルリと回ってまた入り口に戻ると、少し頬を膨らませ長く白い髪を掻き分けた

「片付けするよ。シャロがご飯食べられないから」

 リリーがグルグルと飛び回る下にあるテーブルは、シャロの本が大量に積まれ、シャーロットとリリーが買ってきたのパンや飲み物の山が沢山置かれていた

「この本は勝手に触ってもいいの?さっきみたいに燃えない?」

「魔術が使えないなら魔力も無いから大丈夫、燃えないよ」

「あっ、そう」

 リリーの答えに少し不機嫌になりつつも大量の本から片付けるため、とりあえず一冊手に取る。ボロボロになって色が茶色く褪せている本のページを恐る恐る開いた

「魔術って難しいのね。全く分からないわ」

 パラパラとページを適当にめくり呟く。リリーがシャーロットの頭に止まり、一緒に魔術が書かれたボロボロの本を見る

「シャロだってきっとわかっていないよ」

「分かっていないのに、魔術を使っているの?」

「わかるように頑張ってるんだよ。だからいつも寝不足」

「ふーん、そう……。ところでこれ、どこかで見たことのある文字よね」

「昨日、さっき燃えた場所から持ってきたらしいからね、見たことあるのかも」

「えっ、じゃあこれって……」

 テーブルの上に積まれた沢山の本を見る。積まれた本からまた一冊手に取り、パラパラと適当にめくる。その間リリーは、買い物袋から飛び出ていたパンをつついて食べている。しばらくの間、本のページをめくる音と、ガサガサと袋を探る音がリビングに響く。リリーのお腹が少し満たされ、シャーロットが本を数冊本を確認し終えると、リリーがシャーロットの肩に乗る

「そろそろ読むのは終わり。片付け終わらないよ」

「しょうがないわね。どこに置いておくの?」

「あっち」

 リリーが顔を横に向ける。シャーロットもリリーが見る方に顔を向けると、ソファーの横にも沢山の本が無造作に置かれていた

「仕方がないわね」

 はぁ。とため息を一つついて、テーブルにある本を持てるだけ持ち、ソファーの横に置く。今度はふぅ。と一息つくと、リリーがシャーロットの周りをグルリと一周して、リビングの入り口の方へと飛んで行った

「シャロを呼んでくる。片付け終わったら食べて待っててね」

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