第8話 迷い見つけた道

 一方その頃、ディオロイ城に一人残ったシャロはシャーロットの部屋のベットに座り白く長い髪を触りはぁ。とため息をついていた

「この髪うっとうしい」

 シャーロットに似せるために魔術で変えた長い髪を邪魔そうにユラユラと揺らし、毛先をじっと見つめた

「これ魔術に使えないの?」

 髪を梳かすついでに長さを調べる。魔術を思い出しながら髪を梳かし続けていると、朝の支度をはじめた家政婦達の足音や会話が部屋の外から聞こえはじめた

「バレる前にこの城を散策し終えるか」

 ベットから立ち上がり、うーんと背伸びをする。背伸びを終えると同時にシャーロットの部屋の扉が開き家政婦達が部屋に入ってきた

「さて、シャーロット様の部屋をお掃除はじめましょうか」

「今日は剣術の練習はあるの?」

「どうかしらね、今日はまだ呼ばれていないからないかもね」

「それならお洗濯の用意はいらなさそうですね」

「じゃあ、今日のディナーはシャーロット様の好きな物を多めにしましょうか」

「そうですね、デザートも用意して」

 テキパキと掃除の用意をしながら予定を立てる家政婦達。一方、間一髪逃げたシャロが部屋の外にある廊下の曲がり角で家政婦達の会話を聞いて、ハハッと笑った

「リリーが居なくてよかった」

 デザートと聞いて暴れであろうリリーを思い出しながらディオロイ城の廊下を歩く。お城の中にはたくさんある部屋に戸惑いつつも適当に見て回る

「特に面白そうなのはなかったな」

 キッチンやリビング、家政婦や警備達の休憩室、二階や一階も適当にグルグルと見て回り終え、シャーロットの部屋の前に戻ってきたシャロ。少し疲れて、はぁ。と一息つきながら部屋の扉を開けようとした時、ふと隣の部屋に目が向いた

「この部屋は……」

 隣のシャーロットの部屋に家政婦達がいて入れずにいた部屋に気づいて部屋のドアノブに手を掛け扉を開く。すると、目の前に沢山の本棚とその本棚にぎっしりに詰まった本を見て、今度は嬉しさからフフッと一人笑った

「見つけた。さっさと移動させて帰ろっと」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る