第17話 彼の告白と揺れる心
◆ 静かな朝の緊張
朝の光が差し込むリビングで、私はテーブルの上に置かれた封筒を何度も見つめていた。
昨日の夜、元カノとの再会で知らされた事実、そして彼の部屋に置かれた写真――胸の奥で絡み合う不安と期待が、私の心を締めつける。
コーヒーをすすりながらも、心ここにあらず。
目の前に座る彼の表情を意識するだけで、胸が高鳴る。
「今日は話す」とだけ告げた彼の言葉が、静かな朝に緊張感を漂わせる。
私の指先はテーブルの角をつい握りしめてしまう。
「もう、逃げられない……」
心の奥でそう呟くと、自然と呼吸が浅くなった。
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◆ 過去の告白
彼は深く息をつき、ゆっくりと口を開いた。
「君には、隠していたことがある」
その一言で、私の心は一瞬止まった。
「どんな……こと?」
彼の声は低く、でも真剣だった。
「元カノとの関係だ。あの写真のことも含めて、全部話す」
彼は過去の経緯を語り始める。
元カノとは学生時代からの知り合いで、社会人になって付き合ったこと。
けれど、価値観の違いや互いの生活のズレから、別れることになったこと。
写真は別れた直後に偶然撮られたもので、恋愛感情ではなく、ただの過去の記録だったこと。
言葉のひとつひとつが、私の胸を揺さぶる。
「でも……どうしてその写真を、わざわざ私に?」
「過去を隠すのは間違いだと思った。君を信じてほしいから、すべて見せた」
その告白に、私の目から涙がこぼれる。
「信じたい……でも、まだ怖い」
心の奥で、信じる勇気と恐怖が交錯する。
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◆ 心の葛藤
昼下がり、窓から差し込む光が部屋を明るく照らす中、私は過去と向き合うことを決意する。
写真や元カノの言葉が頭をよぎり、胸が締めつけられる。
「本当に信じていいの?」
心の中で問いかける。
「でも、信じないと先に進めない」
涙を拭い、深く息を吸う。
過去を抱えながらも、今の彼を選ぶ覚悟が少しずつ固まる瞬間だった。
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◆ 過去との対峙
夜、再びあの写真を手に取り、じっと見つめる。
元カノとの関係、別れの理由、そして写真の真相。
どれも事実で、どれも消せない過去。
けれど、その写真の中に、今の私たちの関係に直接影響するものはなかった。
胸の奥の不安は残るものの、私は自分の気持ちに素直になることを決めた。
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◆ 夜の決断
ベッドに横たわり、涙を拭う。
「過去は過去、未来を選ぶのは私」
彼を信じること。
元カノの存在を受け入れること。
そして、自分の気持ちに正直でいること。
その決意を胸に、静かに眠りにつく。
夜空には無数の星が瞬き、私の心にも少しだけ光が差したような気がした。
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◆ 次回への引き
しかし、完全な安心はまだ訪れない。
心の奥底には、まだ見えない不安が潜んでいる。
それでも、私は前に進む――愛と運命の間で揺れる心を抱きしめながら。
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