曇天

柘ろ

1話完結


目が覚めたとき、カーテンの隙間から、ずっしりと重そうな雲が見えた。


心地良い布団の中に潜り込みながら、せっかくの休日の空が曇っていることにうんざりした。


酒がまだ残っている気がするが、ただ身体がだるいだけかもしれない。



・・そうだ、昨日は彼女から久しぶりに連絡が来た。

ぼんやりと、まだろくに覚めていない頭で思い浮かべる。



『もしもし、元気なの?しばらく連絡がなかったから、心配してたんだ。

仕事で忙しいって言ってたし』



『・・・』



彼女は、何も話さない。

なんとなく、それで察しがついた。



『・・わたし、好きな人ができたの。だからもう逢えない』



今考えれば、電話で良かった。

彼女に、うろたえるところを見られなくて済む。



『そうなんだ。僕が嫌いになったの?』



『嫌いって訳じゃないけど。あなたといても楽しくないの。

その人は、あなたと違って色々リードしてくれるの』



僕は黙っていた。



『あ、それから、もう連絡とかやめてね。

しつこかったりしたら警察に通報するから』



呆れて何も言えず、黙ってこっちから電話を切った。



前の男が自分勝手だったから、振り回されない男がいいと言って、向こうから近付いてきたのに・・。

今、改めて思い出しても馬鹿な女だ。



そんな事より、お腹が空いた。

家にはなんにもないし、用事もあるから、あとで外で食べるか。



まだ、目は覚め切っていない。

ベッドの中でごろごろしながら、目は閉じたままだ。



今何時だろう?

布団の隙間から、薄目を開けて壁にかかった時計を見る。



・・15時か。


寝過ぎたな。



急に時間が勿体無い気がしてきた。

勢いをつけて起き上がり、カーテンを開けて、洗面所に向かう。


歯磨きと洗顔を済ませ、軽く髪を整える。

帽子被っていくから、適当でいいか。




リュックに洋服とタオルを詰め込み、出掛ける準備をする。


自然と鼻歌が出てくる。

寝起きのだるさが嘘みたいに、清々しい気分だ。



一瞬、湿った空気の匂いがした。


窓を見る。

まだ雨は降っていない。

いっそのこと、さっさと降ってしまえばいいのにと、思う。



傘は。。



。。いらないか。



僕は、おもむろに帽子を被り、リュックを背負う。

準備は整った。






さあ、殺戮の時間だ。

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曇天 柘ろ @karaco

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