第37話 リボンちゃん・再び
“
そして、ティエラの実家に【
「お上に睨まれるのを避けるためとは言え、弱くなったな~、あたし」
ティエラは自身の『
経験点を稼げばレベルが上がっていくと言う点では、どの
そして、“
ただし、ペナルティとして、“保有する経験点の全てを失う”という点が大きい。
一からやり直しなのだが、一応、前職で得たスキルや魔術は使用する事はできる。
ティエラの『
“
「分かっていたとはいえ、やってらんないわね~。これ、かなり開墾作業の効率が落ちちゃうわね」
「みたいだな。LPやMPは半減。他のステータスも軒並み大幅減。今まで見たいに高レベルの魔術を連発ってわけにはいかんな」
「勇者様はそのまんまですけどね」
「“勇者”は転職できない、か」
これがデビィドに突き付けられた現実だ。
“
そのため、そうした特殊なレア職が損なわれないようにするため、一部の特殊職には転職禁止の規定が設けられていたりする。
“
「あ~あ。どうせなら俺も今の世情に適した
「勇者様はレベルがそのままですからね。冒険者稼業を辞める事を決めた高レベル者が、真っ先に向かうのが“
「あ、やっぱそうなのか」
「過去の事例だと、“
「そう言う意味では、
「そうなりますね。まあ、そうでないと困るんですけどね、あたしやモロコスは」
「パワーレベリング、か」
「経験点は
経験点の貯め方は、おおよそ2つだ。
一つは、“
もう一つは、“モンスターの討伐”だ。
こちらは全職業共通の稼ぎ方であり、手っ取り早く経験点を貯めるのであれば、こちらが早い場合が多い。
しかし、危険を伴う上に、戦闘に不向きな
「まあ、私の場合だと、このまま“
「なんか強そう」
「そうですね、“
「なんか特典でもあんのか?」
「レベル30で習得できる【
「マジで!? 誰でも大地主になれんじゃん!」
「まあ、うっかり忘れている事だけど、“開墾”ってめっちゃ手間なんですよ。あたしらは世間一般で言う“チート技”で色々と過程を簡略化してますんで」
「それもそうだったな」
「なので、開墾ができる“
「そうなると、地方に
「もしくは、あたしらみたいな高レベルの冒険者とかね」
なにしろ、“元”勇者パーティーが全力で開墾作業をやっているのだ。
どんな巨木も一撃で枯らし、魔術を駆使して伐根する。
局地地震を使って地面を
常人であれば年単位の作業も、数日で片付けてしまうのがこの3人なのだ。
「だが、これからはそうも言ってられん。それがしは腕力がかなり低下したし、ティエラもMPが減って、魔術の回数制限が出てきた」
モロコスも『
こちらは“
当然、ステータスは大きく下がっているのは一目瞭然だ。
「まあ、開墾作業に従事してれば、“
「“
「あ、そっか。“
「事が落ち着いたら、森の中で隠遁する。“
「完全に隠者の生活よね、それ」
「まあ、機会があれば“
「モロコス、不穏当な発言は止めなさいって。下手に聞かれたらマジで牢屋行きよ」
本当にやりかねない雰囲気だけに、ティエラはひやひやものだ。
かつての英雄も、今や完全に冷や飯喰らい。
デビィドは納税(自業自得)で苦しめられ、モロコスとスオーラは居場所を失い、ティエラもまたそれに巻き込まれる形で、重荷を背負う事になった。
ほんの1年前までは、魔王を倒した英雄である勇者パーティーが、完全に落ちぶれてしまった。
ボタンのかけ間違い一つでこうもなるのかと、無情を感じるティエラであった。
そんな3人の視界に飛び込んできたのは、元気に走り回る子供達の姿だ。
テンプル騎士団の解散の
今は幼くとも、いずれは独立した農夫にするつもりで、そのための開墾作業を必死で続けているのが、今の勇者パーティーの目的だ。
しかし、お上の嫌がらせでその開墾作業の効率が、レベルダウンと言う形でのしかかっており、当初の予定を大幅に遅れる事になる。
これが救国の英雄に対する扱いかと、モロコスが憤るのも当然と言えた。
とはいえ、彼らはどこまでも“英雄”なのである。
何より、“親”でもあるのだ。
子供の前では不安も不満も表に出さず、完璧に
現に、子供達の輪に加わっている聖女スオーラはそれを誰よりも体現している。
人気を博する“パワーレベリング業”で子供達の養育費を稼ぎつつ、時間を作っては子供達の遊び相手まで務めているのだ。
しかも、嫌な顔一つせず、どころか心底楽しんでいるかのようだ。
「まあ、スオーラはこのために魔王軍と戦っていたようなもんだしな」
この点では一番真面目であり、そして、目的意識が一切ぶれていない。
富や名声などそっちのけで、ただただ純粋に子供達の未来を考え、戦い抜いて来たのが聖女の生き様だ。
そう考えると、腐っていた自分が恥ずかしく感じるデビィドであるが、その子供達の中にとんでもない“異物”を発見した。
他のパーティーメンバーは気付いていない。
なぜなら、その姿を見たのは、自分だけなのだから。
スオーラに抱えられたその女の子、見まごう事なき“それ”。
勇者デビィドは思わず腰に帯びていた剣に手を伸ばしていた。
「魔王リボンちゃん……」
そう。ペコニアと共に自宅を訪問し、納税義務をチラつかせて自分を蹂躙してきた転生魔王。
それが再び目の前に現れたのだ。
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