第15話 ハニートラップ1

翌日、出勤して金田に例の血の付いた布の切れ端とオカルトじみているが何かの進展になればと思い、いくつかのSNSの記事と信憑性のある動画を金田に提出した。

 バカにされるか怒鳴られると思ったが。

「いちど資料に目を通すから時間くれ」

 金田は否定せず、カナコから受け取った資料と自分のノートPCを持って部屋を出た。意外にも共に捜査を進めてくれる事になったらしい。

 その日は一日金田は戻ってこなかったのでカナコは自分のデスクに戻り今まで溜め込んでいた雑務の処理と他に何か見落としがないか過去に行われた犯行の資料を再度見通すことにした。

それから三日後金田に会議室呼び出された。

 「柊、このYoutuberに会いにいくぞ。」

 金田が会いにいくと言ったのは陰謀論や俳優のゴシップの批判など有名なYoutuberだった。チャンネル登録者数も一〇万人ほどおり、そこそこ有名である。

 このYoutuberは怪物事件のことももちろん取り扱っているが金田はこの配信者のどこに目をつけたのだろうか。

「わかりました。ですがDMを送ってみますけど、返信があるかはわかりませんよ。」

「俺の予測が正しければこいつは必ず返信する。連絡するのはこのアカウントから頼む。」

 金田は一枚のメモをカナコに渡した。

 カナコは金田から受け取ったメモに記載されているYoutuberのアカウント情報を自分のPCに入力しログインする。

 出てきたのは中学生だろうか、小学生かもしれない可愛い少女がコスメや化粧品の使用感や感想などをあげているものだった。動画数は二〇と少なめであまり活動していない思われる。

 「金田さんこれ、」

 大丈夫なんですか?と続けようとしたが金田の言葉に遮られる。

 「なるべく、自然に変態が食いつきそうな文面で頼むぞ」

 カナコは試行錯誤して文面を考えた、あくまで自然に閲覧数を増やす方法を教えてください。というスタンスの文面を作った。金田からは「つまらねぇ」と呟かれたがそんな言葉は無視する。

 1時間ほど経ち返信が返ってきた。話はスムーズに進み明日の16時に新宿のカフェで会うことになった。丁寧にURL付きで場所を指定してきた。

 「案外簡単に行きましたね、ちなみにどうしてこの男なんですか?」

 「まぁ見てろ」

 金田は口角をあげて凶悪な笑みを浮かべた。

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