ふたつめの約束
やらせの占い?
緋那のせい?
「うん……」
そう言ったきり、さっきからずっと俯いたままの緋那。
ちょっとイラつくんだけど。
ねぇ、そんなに言いたくないなら無理に話さなくていいよ。
「あ、、ごめんなさい。でも事情分からないの嫌だよね」
確かにハッキリしないのは嫌だけど、言えることだけでいいよ。
あのさ、緋那みてると1人で耐えてる気がするよ。
1人で背負うことないんじゃない?
吐き出しちゃえばいいじゃん!
私が来たのはその為かもしれないしさ。
「そうか、それでかな…」
そう言いながら緋那の思考は止まったまま。
ずっと部屋に入った時の姿勢のままだ。
うわっ正座してるし!このままだと、足がしびれて立てなくなるっ!
あーもう緋那!正座なんてやめなよ。
足を投げ出して、全部解放してみたらどう?
こじんまり座ってるから心まで縮こまってるんだよ!
緋那の体だけど、私の思いで体が動くか試してみた。
あっ動く!
緋那の体だけど私の意志でも動かすことが出来るみたい。
正座を崩して前に足を伸ばした。
あー楽ちん!
「あ、あの楓乃……。こんなにだらしない恰好恥ずかしいわ」
いいの!いいの!楽にしようよ!
壁にもたれてダラっとしてリラックスするよ!
「リラ……?」
えっとね、身も心も楽にするってことよ。タガを外すの!
「タガを外す?あれ、意外と楽みたい」
緋那は深く息を吸ってから、おもむろに話し始めた。
「父は卜占をお役目としていたの」
占いを専門にしてる家系ってこと?
「そう。私の家系は卜占をしていて、たまに先を見通す力を持つ能力の強い者が生まれるの。世間的には父が能力者って言ってたけど、本当は私なの。だから重要な卜占は私がしていたのよ」
緋那ってすごい力あるんだ。で?
「ある大名家の跡継ぎが決まったんだけど、不安感を持つ人がいて卜占を依頼にきたの」
そういう占いも受けるの?
「本当は個々の国のことの占いは禁忌なんだけど、縁のある人からの依頼だから特例で受けたみたい。でもね、その占いは「大吉」の結果を出さなきゃならないものだったの」
ちょっと待ってよ!結果決まってるの?それも大吉?
それって、やらせってこと?
「やらせ……?そうだね。占いの結果とは関係なく大吉」
緋那は「大吉」って返事したの?
「占わなくても結果は分かってた。でも大吉で返事したの」
それなら問題ないじゃない。
「本当に大吉ならね」
違うの?
「あのね、私は占いしなくても見通せる力があるの。でも念の為占ってみたわ」
それで結果は?
「大凶!国が亡びるって結果だった」
それ言ったの?
「父君にはね」
言ったのは父君だけ?
「うん。その時に、卜占の結果は絶対口外してはならぬって約束させられたわ」
やっぱり口止めされたのね。
「うん、そうなの」
ちょっと待って!口止めされてたのなら、あんな事件起こらないよね?
「う……」
緋那が言葉に詰まった。何があったの?
「あった……。確かに。楓乃あのね話にくいから私の記憶の中に来て」
緋那はそう言うと私を緋那の記憶が詰まった海の様なところにダイブさせた。
「みて、あそこから始まるの」
そこは舞台の場面の様にその時の出来事が見られる様になっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます