第17話 腹ごしらえは、カラオケで

カラオケボックスに入ってから、すでに1時間ほどが経過していた。


俺たちが何曲か歌い終わったところで、昭彦あきひこが腹をさすりながら声をあげる。


「なあ、お腹空いたな。なんか頼もうぜ!」


昭彦の言葉に、皆が「賛成!」とばかりに頷く。


春原が笑顔でデンモクを操作し、フードメニューを表示させた。


「よーし!佐伯くん、何がいい?」


春原はそう言いながら、デンモクを俺に差し出す。


「えっと……」


俺はメニューを眺め、どれにしようか迷った。


フライドポテト、唐揚げ、ピザ……どれも美味しそうだ。


「それじゃあ、ポテトにしようかな」


「じゃあ、俺はポテトと唐揚げ!」


昭彦が元気よく宣言する。


「私はピザかな。みんなで食べられるし!」


由香里ゆかりがそう言いながら、ピザを注文した。


俺は、みんなが本当に楽しそうで、思わず微笑んでしまった。


(みんな、本当に仲がいいんだな……)


俺は、自分もいつか、こんな風に気の置けない仲間たちと、当たり前のように時間を過ごせる日が来るのだろうかと、ふと思った。


そんなことを考えていると、店員が部屋に入ってきた。


「ご注文の品をお持ちいたしました」


店員が運んできたのは、ポテト、唐揚げ、ピザだった。


俺たちはそれぞれ、自分の好きなものを手に取り、再びカラオケを楽しんだ。


マイクを片手に、ポテトを頬張る昭彦。


ピザを美味しそうに食べる由香里。


楽しそうに唐揚げを食べる春原。


そして、ポテトを黙々と食べる佐藤。


皆が思い思いに食事と歌を楽しんでいる。


(ああ、本当に楽しいな……)


この時間が、ずっと続けばいいのに。


そう願いながら、俺は次の曲を選んだ。

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